宮城県石巻市北上町十三浜に8月31日、既存の商店を活用したローソン(東京)のコンビニエンスストアがオープンした。出店や運営コストを抑える新たな出店モデル「with LAWSON」の1号店で、石巻を足がかりに、商圏人口が少ない過疎地域への出店拡大にも期待が高まる。
直売所をそのまま生かした店舗
オープンしたのは「にっこり商店 with LAWSON」。地元の水産加工会社「カネキ水産」が2021年から生魚や冷凍商品、弁当などを販売していた直売所を活用し、同社社長がオーナーを務める。おにぎりや酒類、マスクなど商品約1000種類のほか、コピー機も導入され、レジでは公共料金の支払いもできるようになった。直売所で販売していたカネキ水産の冷凍商品3種も並ぶ。
外装と内装は直売所のままで、商品棚や冷凍ケースなどは直売所のものを一部使った。大規模な工事や改装を避けたことで、ローソン側が負担する出店コストは通常の3分の1に削減。売り場面積は約74平方メートルと通常の半分で、品数は3分の1ほどだが、利用客のニーズに応じて品揃えを変えていく。営業時間は午前7時~午後7時で、スタッフは地元から5人雇用した。
震災被害と人口減少の地域
同町は、東日本大震災で甚大な津波被害を受けた。人口は今年7月末時点で、震災前の半数以下の1900人まで減少し、高齢化も進む。北上総合支所によると、町内に個人商店は3店あるが、住民は車で15分ほどかけて町外のコンビニやスーパーへ買い物に行くケースが多かった。
この日は開店前から約120人が集まった。近くの会社員の男性(75)は「食べ物もたばこも、近くで買えて本当に助かる。直売所の建物がそのまま使われていて、愛着を感じる」と話した。
今後の出店計画
新たな出店モデルにより、買い物場所に困る住民の声があるものの、採算が取れず出店を断念していた地域への出店がしやすくなる。ローソンが全国で適地を探すなか、自治体関係者の紹介などを経て北上町に注目した。ローソンの高橋忠男開発本部長(62)は「1号店を検証し、長く継続できる地域に合わせた店を増やしていきたい」と意気込んだ。
同社では26年度中に関東地方で新たに2店舗、同様のモデルでの出店を予定している。
店の佐藤慶浩オーナー(50)は「地域住民にとって念願のコンビニ。人がいない地域でどう売り上げを作り、運営するか、全国のいいモデルになれたら」と語った。



