総務省が郵便法改正に向けて作成した説明資料から、郵便局のコスト削減策が削除されていたことが明らかになった。2026年7月16日、本紙の連載「郵政一家の策謀」第12回で報じた内容によると、公金注入の代償として、自民党「郵政族」の圧力で改革案が骨抜きにされた背景が浮き彫りになった。
自民党合同会議での叱責
3月13日朝、自民党本部1階で開かれた総務部会などの合同会議。総務省の幹部らが、同省出身の議員から叱責を受けていた。「こんなことをしれっと書くのは、納得がいかない。他党とギリギリの折衝を重ねるなか、郵便局の取り扱いはセンシティブ。総務省には諸般の状況を考えた文章の作成を要望したい」。この日の議題は、政府法案として国会に提出される郵便法改正案だった。郵便料金を柔軟に変えやすくし、郵便事業の持続性を高めるための法改正だが、説明資料に記された一言が「郵政族」のセンサーに引っかかった。
資料から消えたコスト削減策
総務省の作成資料には、日本郵便の経営改善策として、郵便局の統廃合や人員削減などのコスト削減策が盛り込まれていた。しかし、自民党議員からの圧力を受け、これらの記述は削除された。総務省幹部は「郵便局を守る気持ちは同じ」と釈明したが、改革の機運は後退した。
公金注入の実態
連載第11回(2026年7月14日)では、郵便局保護に「消えた郵便貯金」も活用され、公金が注がれる独立行政法人の実態を報じた。第12回では、日本郵便への年650億円の支援の舞台裏を深掘り。公金注入の代償として、コスト削減策が削除された経緯を追った。
「郵政一家」の策謀
連載「郵政一家の策謀」は全12回。第1回(2025年6月2日)「虎ノ門の一室で『郵政一家の策謀』郵便局に年650億円支援の舞台裏」から始まり、第2回(2025年6月3日)「『政治力』でゆがむ経営 ゆうちょ・かんぽ『完全民営化』棚上げへ」、第3回(2025年6月4日)「自民党費を『人質』に駆け引き 郵便局長会がもぎ取った条文修正」など、郵政改革の停滞を政治力学の観点から検証してきた。
郵便事業の課題
日本郵政社長は「今のままでは持続不可能」と訴え、無策なら3年後に赤字4千億円に達するとの試算もある。郵便事業が直面する四つの課題(需要減少、人件費増、デジタル化対応、ユニバーサルサービス維持)に対し、改革が進まない背景には「郵政族」の既得権益が横たわる。
今後の展望
郵便法改正案は国会審議入りする見通しだが、コスト削減策が削除されたことで、持続可能性への懸念は残る。公金注入の代償として、国民負担が増大する可能性も指摘されている。



