ANAとJAL、燃油高騰で減益も成長戦略に明暗-マイル・LCC・貨物で差異
ANAとJAL、燃油高騰で減益も成長戦略に明暗

ANAホールディングスと日本航空(JAL)は、事業環境が類似しながらも、成長戦略において明確な違いを見せている。燃油費高騰による減益は避けられないものの、両社は赤字転落を回避し、国際線強化を軸に据える点では一致する。しかし、マイル、LCC(格安航空会社)、貨物事業におけるアプローチは大きく異なり、今後の競争力を左右する可能性がある。

燃油高騰の影響と業績見通し

2026年3月期、ANAの燃油費は4723億円、JALは3954億円に達した。シンガポール・ケロシン平均価格は1バレル85.4ドルだったが、3月以降急騰し、4~5月平均は178.2ドルと2倍以上に跳ね上がった。両社はヘッジを活用するものの、限界がある。

ANAは中東情勢が6月末までに収束し、7月以降に影響が段階的に解消する前提で業績予想を策定。国際線サーチャージの上昇やコスト削減、政府補助金を考慮しても、年間600億円の営業利益押し下げ影響を見込む。一方、JALは3月時点で公表した原油高騰未織り込みの業績予想を据え置くものの、サーチャージ本格上昇までの6月まで、月間110億円の利益押し下げ影響が発生すると試算。通期での挽回を目指すが、影響は避けられない。

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サーチャージは5月以降、従来比で約2倍に上昇。両社は今年度から基準市況価格の反映時期を「適用3~4カ月前の平均値」から「2~3カ月前」に1カ月前倒しし、急激な燃油変動に対応可能とした。

国際線強化の共通点と相違点

両社とも2026年に入り新たな中期経営計画を発表。国際線強化を掲げる点は共通だが、具体的手法は分かれる。ANAはフルサービスキャリアとしての強みを活かし、高付加価値路線を追求。JALはLCC事業に注力し、コスト競争力を高める戦略を打ち出す。

ANAは傘下にLCC「ピーチ・アビエーション」を持つが、あくまでフルサービスが主体。一方、JALは「ZIPAIR Tokyo」を含むLCCを積極的に拡大し、需要の裾野を広げる方針だ。

マイル戦略:JALの「唯一無二」

JALはマイル戦略を「唯一無二」と位置づけ、他社との差別化を図る。マイレージプログラム「JALマイレージバンク」の価値向上に注力し、提携先拡大や特典航空券の充実を進める。これにより、顧客ロイヤルティを高め、リピーター獲得を狙う。

ANAも「ANAマイレージクラブ」を展開するが、JALほどマイルに特化した戦略は打ち出していない。両社のアプローチの違いは、収益構造や顧客基盤の違いを反映している。

貨物事業:ANAのテコ入れ

ANAは貨物事業の強化に乗り出す。国際旅客便の減少を補うため、貨物専用機の導入や貨物需要の取り込みを加速。2026年度には貨物収入の大幅増加を計画する。一方、JALは貨物事業を旅客事業の補完と位置づけ、積極的な拡大は見送っている。

この差は、両社の事業ポートフォリオの違いに起因する。ANAは旅客と貨物のバランスを重視し、JALは旅客事業に集中する戦略をとる。

今後の展望

燃油高騰は両社の収益を圧迫するが、赤字転落は回避できる見通し。成長戦略の違いが、中長期的な競争力にどう影響するかが焦点となる。ANAは貨物とフルサービス、JALはマイルとLCCで差別化を図り、それぞれの道を模索する。

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