「貧困は消える」という幻想が崩れた理由:国連も読み違えた世界経済の大転換
「貧困は消える」幻想が崩れた理由:国連も読み違えた転換

貧困撲滅の夢はなぜ潰えたのか

2000年、国連のミレニアム宣言は「2015年までに極度の貧困を半減させる」という目標を掲げ、実際に2015年までに世界の貧困率は半減した。しかし、その後「2030年までに貧困を根絶する」という持続可能な開発目標(SDGs)は、達成が極めて困難な状況にある。なぜ「貧困は消える」という楽観的な見通しは崩れたのか。神奈川大学名誉教授の的場昭弘氏は、その原因を「投資を活用する体制の有無」に求める。

成功例・中国に学ぶ構造改革の重要性

的場氏は、貧困問題解決の最大の要因として「海外からの投資そのものではなく、その投資をうまく活用できる体制や構造があるかどうか」を挙げる。もっとも顕著な例が中国だ。中国は日本や欧米からの投資を活用し、徹底した構造改革を実施。世界の工場として下請け的な利益を得るとともに、その利益をインフラ整備に再投資した。具体的には、まず教育と医療に投資し、その後、交通網や銀行システムなどの社会基盤を整備。これにより、欧米からの投資が引き揚げられても自立して発展できるシステムを構築した。現在では、中国は先進国を追い抜くほどの経済成長を遂げている。

欧米依存から独立へ:新たなグローバル化の波

的場氏は、現在世界で起きている現象を「欧米によるグローバリゼーションから、アジア・アフリカ全体によるグローバル化への移行」と分析する。2000年のミレニアム宣言は、自由貿易と市場経済の拡大が貧困を自動的に解消するという前提に立っていた。しかし、実際には欧米資本の流入だけでは貧困は解消されず、むしろ従属関係を強める結果となった。著名経済学者ジェフリー・サックスやミルトン・フリードマン、そして国連のミレニアム宣言は、この点で未来を読み間違えたと的場氏は指摘する。

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貧困撲滅の鍵は「独立した発展」

貧困からの脱出には、欧米への従属ではなく、欧米から独立して発展できる道を選ぶことが重要だ。経済発展は他国依存ではなく、自国の努力による構造改革とインフラ整備が不可欠である。教育、医療、道路などのインフラにほとんど関心を持たない先進国の投資は、この点を考慮すべきであった。貧困は、欧米資本が投資されただけでは消滅し得ない。消滅には、それぞれの国の主体的な発展努力が必要であり、貧困撲滅はまだその途上にあると言える。

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