「貧困は消える」という幻想が崩れた理由:国連も読み切れなかった世界経済の大転換
貧困は消えるという幻想が崩れた理由:国連も読み切れず

国連のミレニアム宣言と貧困撲滅の幻想

2000年、国連はミレニアム宣言を採択し、2015年までに極度の貧困を半減させる目標を掲げた。さらに、経済学者ジェフリー・サックスは2025年までに貧困が完全に消滅すると楽観的に予測した。しかし、2026年現在、貧困は解消されていないどころか、まったく新しい問題が生じている。

外国資本流入の落とし穴

こうした議論は世界の貧困問題の解決に明るい希望を与えたが、次の点を忘れていた。外国からの投資は、受け入れ国の賃金が低い限りにおいて成立する。さらに低い賃金と質の高い労働力を持つ国が現れれば、資本はそちらに移転し、元の国には産業の空洞化が生じる。外国資本の単なる流入は、途上国の経済発展や経済構造の変革を遅らせ、先進国への依存を強める結果となる。

エレファントカーブが示す衝撃

後進国の貧困問題は、逆に先進国の貧困問題を引き起こした。この衝撃的なデータを示したのが、トマ・ピケティとブランコ・ミラノヴィッチである。ミラノヴィッチは著書『大不平等』(みすず書房、2017年)の中で「エレファントカーブ」と呼ばれる象の形をしたグラフを提示した。このグラフは、先進国では中産階級の所得が低下し、富裕層の所得が大きく上昇している一方、新興国の中産階級の所得が増加していることを示し、先進国での中産階級の貧困化を証明した。

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ピケティが指摘した階級内分裂

ピケティも『21世紀の資本』(みすず書房、2014年)で先進国経済の構造変化を分析した。この書物は経済学の専門書でありながら、アメリカで爆発的に売れ、日本でも大きな話題となった。ピケティは、資本主義下における新たな貧富の格差を提起した。それは、労働者の中で労働所得のみに依存する者と、株式投資など資本所得を得る者との間に生じる格差であり、労働者階級内部の分裂である。

グローバリゼーションが生んだ新たな貧困

21世紀のグローバリゼーションは、先進国に新たな形の貧困問題をもたらした。ミラノヴィッチとピケティの議論は、先進国の労働者の貧困化という点で、後進国ではなく先進国に衝撃を与えた。この議論以降、労働者が株式配当所得を得ようとする風潮が高まり、海外に移転した工場によって産業が先細りした先進国では、労働所得ではなく海外投資によるインカムゲインで生計を立てるべきだという議論が強まっている。

反グローバリズムによる二極化

こうした構造変化は、反グローバリズムの台頭を招き、さらに格差を拡大させる要因となっている。貧困問題は単なる途上国の課題ではなく、先進国を含む世界全体の構造的問題として捉え直す必要がある。

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