日本経済は長らく「失われた30年」と呼ばれる低迷期にあったが、2025年にようやく成長軌道へ転換する可能性が見えてきた。経済産業省の報告によると、2024年の実質GDP成長率は1.2%と予測され、2025年には1.5%に加速する見通しである。この変化の背景には、企業の賃上げ意欲の高まりと設備投資の拡大がある。
賃上げと投資の好循環が始動
2024年の春闘では、連合の集計で平均賃上げ率が3.8%に達し、1991年以来の高い水準となった。これにより、個人消費の回復が期待される。また、企業の設備投資計画は2024年度に前年比6.5%増と堅調で、半導体やデジタル分野への投資が牽引している。経済産業省の担当者は「賃上げと投資の好循環がようやく回り始めている」と述べている。
構造改革の進展と課題
政府は成長戦略として、規制改革やスタートアップ支援に注力してきた。特に、2023年に成立した「新しい資本主義」の政策パッケージは、賃金上昇を伴う成長を目指す。しかし、課題も残る。労働力不足は深刻で、2024年の有効求人倍率は1.3倍と高水準が続く。また、物価上昇が実質賃金を圧迫しており、2024年の実質賃金は前年比0.2%減とマイナスが続いている。
海外経済の影響とリスク
日本経済の回復は海外経済にも左右される。米国経済の軟着陸や中国経済の回復が日本への輸出にプラスとなる一方、地政学リスクや金融市場の変動は下振れ要因だ。内閣府の試算では、世界経済が1%減速すると日本経済は0.3%押し下げられる。2025年の見通しは依然として不透明な要素も多い。
専門家は、日本経済が持続的な成長軌道に乗るためには、さらなる構造改革と生産性向上が必要だと指摘する。第一生命経済研究所の熊野英生氏は「賃上げが一時的なものに終わらず、持続的な成長につながるかが鍵」と述べている。



