都心3区の中古マンション市場、価格調整局面へ 新規売出価格が低下傾向
都心3区の中古マンション市場、価格調整局面へ

マンションリサーチは10月2日、東京都心3区(港区・千代田区・中央区)の中古分譲マンション市場に関する分析結果を発表した。2024年1月から2026年9月までの期間に市場で流通した中古物件の売り出しデータ5万1744件を網羅的に収集し、独自の統計ロジックに基づいて集計・分析している。

価格上昇局面から調整局面へ

都心部の中古マンション市場では、これまで続いてきた価格上昇局面から、徐々に価格調整局面へと移行しつつあるとされる。特に都心3区ではその傾向が顕著だ。

在庫坪単価は2026年前半をピークに、その後は概ね横ばいで推移。一方、新規登録坪単価は2025年後半頃から減少傾向が見られる。売主がこれまでの相場水準を維持して売り出すのではなく、市場の反応を踏まえて売出価格を引き下げ始めている可能性を示している。

成約価格も微減傾向

実際に取引が成立した成約坪単価も、2026年初旬以降は微減傾向が確認されている。売出価格だけでなく、実際の取引価格にも上昇基調からの変化が生じ始めている。

新規登録価格、在庫価格、成約価格の関係を見ると、相場上昇局面では売主が高い価格での売却を期待して新規登録価格を引き上げ、買い手が付くことで成約価格も上昇する。しかし現在の都心3区では、新規登録価格が低下し、成約価格も微減していることから、売主と買主の価格認識に変化が生じていると考えられる。

販売日数と値引率の上昇

販売日数と成約までの値引率は、ともに2024年中盤頃から上昇傾向に入り、直近の2026年9月にはいずれも非常に高い水準となった。売り出せば比較的短期間で成約していたこれまでの環境から、売却に時間を要し、成約には売出価格からの一定の価格調整が必要となる市場へ変化している。

買主側の価格選別はより厳しくなっており、価格が高い物件は購入判断が先送りされやすい。一方、立地・築年数・専有面積・眺望・管理状態などの条件に対して価格が割安と判断された物件は、相対的に成約しやすくなる。

この状況が続くと、成約は比較的価格の低い物件が中心となり、本来なら市場に残る在庫は価格の高い物件に偏る。その結果、在庫の平均坪単価は上昇する方向に働くようにも考えられる。しかし実際には在庫坪単価は2026年前半をピークに横ばいだ。在庫物件の値引き幅が拡大していることに加え、新規登録物件の価格自体が低下しているためとみられる。「高い物件が残る」上昇圧力と「新規登録価格や既存在庫価格が調整される」下落圧力が同時に発生し、平均坪単価が横ばいになっている。

在庫は増加傾向

都心3区の在庫数は増加傾向にある。市場に供給される物件数に対して、現在の価格水準で購入を希望する需要が追いついていないことを示唆している。価格上昇局面では多少高い価格でも買主が現れて在庫が消化されたが、現在は価格上昇に対する買主の許容度が低下し、売却までに時間を要する物件が増えている。

新規登録価格の低下、成約坪単価の微減、販売日数の長期化、値引率の上昇、在庫の増加という複数の指標から、需給バランスは徐々に買主側へと変化している。今後はまず新規登録価格のさらなる調整と値引率の拡大が進み、それでも在庫の増加が続く場合には、成約価格にも追加的な調整が発生する可能性がある。在庫坪単価の横ばいは市場の安定を示すのではなく、新規登録価格の低下と既存在庫の価格調整によって平均値が保たれている状態と見ることができる。

都心3区の中古マンション市場でも、価格が上がり続ける状況に変化が見え始めている。ただし、すべての物件が一律に値下がりしているわけではない。購入を検討する際は、売出価格だけでなく、周辺の成約相場や販売期間、値下げの有無なども確認し、物件ごとの価格の妥当性を見極めることが重要になりそうだ。