成田空港機能強化、土地収用制度活用で合意 国家プロジェクト始動
成田空港機能強化、土地収用制度で合意 国家プロジェクト始動

成田空港の「機能強化」を巡り、成田国際空港会社(NAA)の藤井直樹社長は13日、新設されるC滑走路の未買収用地について、土地収用制度を活用することで地元自治体と合意したと金子国土交通相に報告した。同日には関係府省庁連絡会議の初会合も開かれ、機能強化を「国家プロジェクト」として推進する取り組みが本格的に始動した。

土地収用制度の活用で合意

「地域の思いをしっかりと受け止め、機能強化の早期実現に全力で取り組む」。藤井社長は金子国交相との面会後、記者団にこう述べ、土地収用制度の活用に必要な手続きの準備に入ることを明らかにした。

藤井社長は面会で、10日の「4者協議会」での合意事項として、以下の2点を報告した。1点目は、C滑走路(3500メートル)の未買収用地について土地収用法に基づく事業認定申請を行うこと。2点目は、1000メートル延伸するB滑走路(2500メートル)を2029年度中に先行供用することである。

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機能強化に伴う拡張用地(1099ヘクタール)の確保率は90.4%(6月末現在)。未確保は105ヘクタールで、そのうち53ヘクタール(全体の4.8%)は契約のめどが立っていない。

金子国交相は「土地収用制度を活用するとしても、引き続き誠心誠意、丁寧に任意取得に向けた努力を継続することの重要性は変わらない」と述べた。

関係省庁連絡会議が初開催

その後、関係府省庁連絡会議の初会合が開かれた。政府が6月30日に公表した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)の原案に、成田空港の機能強化や道路・鉄道アクセスの整備、周辺の産業集積などが明記されたことを受け、国家プロジェクトとして一体的に進める目的で設置された。

連絡会議は国交相をトップに、国交省や内閣府、総務、財務、農林水産、経済産業の各省の審議官・局長、観光庁長官らで構成。藤井社長と熊谷知事もオブザーバーとして出席した。

連絡会議では、6日に開かれた国交省の検討会で承認された以下の3点について、予算を含めた具体的な計画を議論する。1点目は京成・JR線の単線区間の複線化、2点目は旅客ターミナルの集約ワンターミナル化、3点目は新貨物地区の整備である。

金子国交相は「成田空港は我が国発着の国際航空貨物の7割を担う最大の貿易港、インバウンド(訪日外国人)の約3割を受け入れるメインゲートウェーだ」と述べた。

さらに「土地収用制度の活用が確認されたことは、年間発着容量50万回化の早期実現に向けた大きな前進」と評価し、「成田空港の機能強化は、周辺地域はもとより、日本各地の成長に寄与するものだ」と強調した。

「東アジアの玄関」へ鍵握る

成田空港の機能強化は「第2の開港」と呼ばれ、急拡大する航空需要を取り込み、日本の経済発展につなげる国家プロジェクトと位置づけられている。

NAAの試算では、機能強化で発着枠が現在の34万回から50万回になると、旅客数は現在の1.8倍の7500万人、貨物取扱量は1.5倍の約300万トンに拡大する見込み。空港周辺に航空・宇宙といった産業誘致も図る方針だ。

ちばぎん総合研究所(千葉市美浜区)は、2040年度に年間発着回数50万回を達成した場合、本県に限っても経済波及効果が2025年度からの累積で19兆2000億円増加(2024年度比)すると試算している。

成田の機能強化が叫ばれる背景には、東アジアの空港との激烈な国際競争がある。成田は大型機などの発着が可能な3500メートル以上の滑走路は1本だが、仁川(韓国)は4本、桃園(台湾)は2本。羽田も最長3360メートルのため、成田と羽田を合わせた「首都圏空港」としても見劣りする。

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国主導で機能強化を進めた仁川の2025年の国際航空旅客数は7355万人、貨物量は292万トン。それぞれ成田の2.1倍、1.4倍と大きく水をあけている。

都心に近い羽田の拡張が困難な中、今後約20年で1.7倍になると予測される北米―アジア間の旅客流動を取り込み、国際物流ネットワークを拡充することは国の経済成長を左右する。政府関係者は「我が国が東アジアの玄関として主導権を取り戻すことができるかどうかは成田が鍵を握っている」と指摘する。