西日本豪雨から8年、奇跡のミカン木が再起促す 宇和島・赤松さん夫妻のSNS発信に反響
西日本豪雨8年、奇跡のミカン木が再起 宇和島・赤松さん

崩落耐えた5本のミカン木が再起のきっかけに

2018年7月の西日本豪雨から8年。愛媛県宇和島市吉田町の急斜面にあるミカン畑で、5代目農家の赤松政紀さん(52)が、青々と実をつけた若木を見守っている。壊滅的な被害を受けた畑で奇跡的に残った5本のミカン木が、再起への勇気を与えた。現在、その周りには約100本の苗木が育ち、昨季は濃厚な甘さを取り戻したという。

約250本の樹が根こそぎ流され、絶望のどん底

赤松さんは2000年に京都の造園会社を辞め、実家のミカン農家を継いだ。充実した日々を送っていた8年前の7月7日、豪雨が襲った。吉田町では2200か所以上で土砂崩れが発生し、災害関連死を含め13人が死亡。赤松さんの畑も6か所が崩れ、約3ヘクタールのうち1割が崩落。最も実をつける樹齢20~30年の約250本が根こそぎ流され、モノレールやスプリンクラーも壊れた。「もうミカンづくりはできない」とぼう然とした。

「奇跡の木」との出会いで再起を決意

約1か月後、再び畑を訪れると、壊滅的な区画で5本の木が倒れずに踏みとどまっていた。上部から流されながらも、再び根を張ろうとしているように見えた。「こんなひどい災害を耐え抜いている。自分も頑張らなくては」と励まされ、「奇跡の木」と名付けて再起を誓った。

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手作業での復旧、5年かけて味を取り戻す

急斜面のため重機は使えず、手作業で枯れ木を撤去し土のうを積んだ。肥沃な土が流れた影響で苗木の成長は遅く、葉の色も薄かった。まずまずの実をつけるまでに5年を要し、「先人の努力で、おいしいミカンができることに気づかされた」と振り返る。

妻の助言でSNS発信、フォロワー2万7000人超

2023年1月に14歳下の甫美さん(38)と結婚。甫美さんの助言でインスタグラムを開設し、ミカンの魅力を発信。目隠しで種類を当てるゲームやドキュメンタリー風動画など、夫婦で一生懸命伝える姿が「癒やされる」と反響を呼び、フォロワーは2万7000人を超えた。2026年1月にはテレビ朝日系「新婚さんいらっしゃい!」に出演し、注文が殺到。秋の収穫を待ち望む声が今も届く。

「人生が180度変わった」と赤松さん

「自然の恵みと恐ろしさを考えさせられた8年間だった」と赤松さん。「『奇跡の木』に勇気付けられ、人生が180度変わった。多くの支援のおかげ。この土地で、心を込めておいしいミカンを育て、全国に届けたい」と意気込む。

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