トヨタ自動車は12月9日、全面改良した燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」を発表した。最大の特長は、航続距離が従来モデルから約30%延びて約850kmに達し、市販のFCVとして世界最長を実現した点だ。
プラットフォームを一新、走行性能も向上
新型MIRAIは、トヨタの高級車ブランド「レクサス」などにも採用される後輪駆動用の新プラットフォーム(車台)「GA-L」をベースに開発された。これにより、低重心化と高剛性化を実現し、優れた走行安定性と乗り心地を両立。また、燃料電池システムの搭載位置を従来の床下から車両前方に移動させ、前後重量配分を最適化したことで、ハンドリング性能も向上している。
航続距離延長のカギは高圧水素タンクとFCスタック
航続距離延長の要因は、燃料となる水素の搭載量を増やしたことと、燃料電池スタックの効率を高めたことにある。新型MIRAIは、高圧水素タンクを従来の2本から3本に増やし、総容量を約5.6kgに拡大。同時に、燃料電池スタックのセル数を従来の370セルから330セルに減らしながらも、出力密度を向上させてシステム全体の効率を高めた。
- 水素タンク本数:2本→3本
- 総水素搭載量:約4.6kg→約5.6kg
- 燃料電池スタックセル数:370→330
- モーター最高出力:113kW→134kW
- モーター最大トルク:335Nm→300Nm
価格は710万円台から、水素ステーション整備にも期待
新型MIRAIの価格は、710万円から795万円(いずれも税込み)。政府の補助金を活用すれば、実質的な購入価格はさらに低くなる。トヨタは、FCVの普及には水素ステーションの整備が不可欠とし、引き続き関係各所との連携を強化する方針だ。
なお、新型MIRAIは2021年中に日本、米国、欧州などで順次発売される予定。トヨタはFCVの普及を通じて、水素社会の実現に貢献したい考えだ。



