コメ不足と高騰に悩む外食・米菓業界、備蓄米放出の波紋
コメ不足と高騰に悩む外食・米菓業界、備蓄米放出の波紋

コメの価格高騰が止まらない

2024年に入り、コメの価格が高騰している。農林水産省の統計によると、2024年6月のコメの相対取引価格は前年同月比で約30%上昇。スーパーでの小売価格も5キロあたり2500円を超えるケースが増え、消費者や外食産業に大きな打撃を与えている。

背景には、2023年の猛暑による不作がある。主要なコメ産地である新潟県や秋田県では、高温障害で収量が減少。さらに、肥料や農薬の価格上昇が生産コストを押し上げ、農家の経営を圧迫している。農林水産省の担当者は「生産者の高齢化や離農が進み、供給力が低下している」と指摘する。

外食産業、価格転嫁に苦慮

コメを大量に使用する外食産業では、価格転嫁が急務となっている。牛丼チェーンの「吉野家」は、2024年7月に牛丼並盛を50円値上げし、480円に。松屋も同様の値上げを実施したが、客離れを懸念し、値上げ幅は最小限に抑えている。

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一方、回転寿司チェーンの「くら寿司」は、シャリに使用するコメの調達コストが前年比で20%増加。同社の広報担当者は「現状では値上げを避けたいが、コメの価格がこのまま高止まりすれば、秋以降の値上げも検討せざるを得ない」と語る。

米菓メーカーも原料確保に奔走

米菓メーカーもコメの調達に苦戦している。大手の「亀田製菓」は、主力商品の「亀田の柿の種」に使用するコメの確保に奔走。同社の調達担当者は「取引先の農家からは、収量減少で供給量を減らすと言われている。代替原料の検討も進めているが、品質を維持するのは難しい」と明かす。

また、老舗の「三幸製菓」も、コメの価格高騰を受け、2024年8月から一部商品の価格を5~10%引き上げることを決定。同社の広報は「原材料費の上昇を吸収しきれず、苦渋の決断だった」とコメントする。

政府、備蓄米放出で対応

こうした事態を受け、政府は2024年8月、備蓄米の放出を決定。備蓄米は通常、不作時の備えとして保管されているが、今回の価格高騰と品不足を受けて、約10万トンを市場に放出する方針だ。農林水産省の担当者は「備蓄米の放出により、一時的な需給緩和と価格の安定化を図りたい」と説明する。

しかし、放出効果には懐疑的な声も多い。コメ卸業者の関係者は「備蓄米の放出量は市場規模の約1%に過ぎず、根本的な解決にはならない。生産者の減少や気候変動による不作リスクが高まる中、長期的な対策が必要だ」と指摘する。

生産者減少と気候変動が構造的課題

コメの価格高騰の背景には、構造的な問題がある。日本のコメ生産者は、高齢化と後継者不足により年々減少。農林水産省のデータによると、2023年のコメ農家の数は約70万戸で、10年前と比べて約20%減少している。

さらに、気候変動による高温障害が頻発。2023年の猛暑に加え、2024年も記録的な高温が続いており、コメの収量に悪影響を与える可能性がある。農林水産省は、高温に強い品種の開発や、水管理技術の向上など、対策を進めているが、効果が出るまでには時間がかかると見られる。

消費者にも影響拡大

コメの値上がりは、消費者の家計にも直撃している。都内の主婦は「毎日食べるコメの値段が上がり、食費のやりくりが大変。安い銘柄を探してスーパーをはしごしている」と嘆く。また、外食の値上げにより、ランチ代を見直すサラリーマンも増えている。

専門家は「コメの価格高騰は、一時的なものではなく、中長期化する可能性が高い。消費者も、コメの節約や代替食品の活用など、生活スタイルを見直す必要がある」と警鐘を鳴らす。

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