少子高齢化が進む日本で、地方ローカル線の存廃が全国的な課題となっている。鉄道事業には車両や線路などの大規模設備が必要で、安全のための定期的な保守や修繕も欠かせない。かつては沿線住民の足として栄えたが、利用者数の減少で費用を賄えず、慢性的な赤字に陥るケースが珍しくない。経営低迷がサービス悪化を招き、さらに乗客が減る負のスパイラルが発生している。
一方で、車を運転できない高齢者や学生など公共交通を必要とする人々は依然として存在する。そこで路線を維持する最終手段として注目されるのが「上下分離方式」だ。設備の維持・管理コストを自治体が負担し、鉄道事業者は運行業務に専念する。
近江鉄道、上下分離で再生へ
このスキームで息を吹き返しつつあるのが、滋賀県で33駅、全線59.5キロメートルを擁する近江鉄道(本社・彦根市)だ。2024年4月の上下分離移行を機に、地域社会の鉄道への理解が深まり、乗客数は着実に増加。「公有民営化」の先進事例として注目を集めている。
130周年式典で官民一体の姿勢
6月16日、近江鉄道・彦根駅のホームで創立130周年を祝う式典が開かれた。来賓として招かれた三日月大造・滋賀県知事は祝辞で「私たちは今、新しい鉄道経営の姿を作り始めたところです。多くのお客様に利用していただき、自治体の努力と共に、会社は収益を上げる。そんな全国にも誇れるモデルとなりつつあります」と述べた。東近江市の小椋正清市長らと共に記念ロゴで飾った特別列車の出発を拍手で見届け、官民一体の姿勢を印象づけた。



