福島処理水放出3年、周辺海域で異常なし タンク解体は2%弱
福島処理水放出3年、周辺海域で異常なし タンク解体は2%弱

東京電力福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出は、24日で開始から3年となった。これまで22回で計17万2729トンを放出し、周辺海域で異常な放射性物質の増加は確認されていない。2051年を期限とする廃炉を着実に進めるには、放出を安定的に軌道に乗せることが最低条件となる。

タンク解体はピーク時の2%弱

海洋放出からの3年間で解体できたタンクは17基。ピーク時は1046基あったため、その2%程度に過ぎない。東電の松浦英生リスクコミュニケーターは「小さな一歩だが、廃炉が着実に進んでいることを実感できる場所だ」と語った。

雨水や地下水が原発建屋内の溶融燃料(デブリ)に触れるなどして発生する汚染水は、大量の放射性物質を含む。汚染水は構内の「多核種除去設備(ALPS)」でトリチウム以外の大半の放射性物質を取り除いて処理水となる。構内ではこの処理水を大量のタンクに貯蔵していた。

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放出の仕組みと現場の取り組み

2023年8月24日から始めた海洋放出では、まず処理水を大量の海水で希釈し、トリチウム濃度を1リットルあたり1500ベクレル(国の排出基準の40分の1)未満にする。その後、海底トンネルを通し、原発の沖合約1キロ・メートルの海底から放出する。

運用部門責任者の田村章さんは、沖合に向かって延びる直径約2メートルにもなる巨大な配管を見つめ、「配管の音を耳で聞いたり、漏洩箇所がないか探したり、五感で現場の異常を見逃さないことが大切だ」と語った。

貯水量の減少と今後の見通し

3年間の放出は、一定の成果を上げている。処理水タンクの総貯蔵量は123万トン(8月13日時点)となり、放出開始前の7.6%にあたる10万トン減った。放出前に一時98%まで逼迫したタンクの容量は、現在90%程度にある。跡地はデブリ取り出しに関連する施設を建設する予定だが、時期はまだ決まっていないという。

汚染水の発生を減らす努力も続く。増加要因となる雨水や地下水の流入を防ぐため、建屋周辺の地表をモルタルで覆うなどの対策を進めている。対策は奏功し、汚染水発生量はピーク時の2015年度に1日490トンだったが、昨年度は過去最少の同60トンに減った。

この3年間の処理水の海洋放出量を1日あたりで換算すると150トンとなり、新たな汚染水の発生が同60トンであれば、処理水は同90トンのペースで減り続けることになる。この想定ではすべてのタンクを空にするまで約40年かかるが、東電は放出量の調整やトリチウムの自然減少量などを考慮すれば、2051年までに放出を完了できると試算している。ただ、貯蔵する処理水の約7割は放出のために再浄化する必要があるため、東電はその施設の整備も急ぐ。

東電福島第一廃炉推進カンパニーの小野明代表は7月の記者会見で海洋放出3年を受けた所感を問われた際、「計画通りに安全な放出ができている」としつつ、「放出は長期にわたる継続的な取り組み。緊張感を持って安全品質の確保に万全を期したい」と述べた。

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