林野庁四国森林管理局(高知市)は、ニホンノウサギによるスギやヒノキの苗木被害対策を目的とした「ノウサギ研究アーカイブ」をウェブサイト上で公開した。同アーカイブには、同局が独自に開発した小型箱ワナを用いた誘引捕獲方法の解説や、ノウサギの行動特性の分析、被害発生メカニズムなどがまとめられている。同局は「各地の事情に応じた対策検討や、民有林を含めた被害対策の一助になれば」と期待を寄せている。
ニホンノウサギの生態と被害実態
ニホンノウサギは本州、四国、九州および周辺の島々に広く分布する日本の固有種である。草食性かつ夜行性で、草本類だけでなく樹木の芽や樹皮も採食するため、再造林地では苗木をかじって成長を阻害し、枯死させるケースが確認されている。同局管内の四国4県における国有林での2020~2024年度の5年間の被害額は約3420万円に上り、県有林や民有林でも同様の被害が生じているとみられる。
研究アーカイブの内容
同局は2017年度以降、ノウサギを単なる「害獣」と位置付けるのではなく、生態的特徴や行動特性を正しく理解した上で被害を抑制する手法について、研究成果や実践事例を蓄積してきた。今回公開されたアーカイブでは、小型箱ワナを用いた誘引捕獲方法として、設置場所の選定や設置・固定の手順、季節に応じた誘引餌の情報(5~10月は自生の薬師草、12~3月は大根葉が有効)などが詳述されている。
また、GPS首輪やセンサーカメラを用いた行動分析の結果では、ノウサギの行動範囲が2.5~4.6ヘクタールに及ぶことや、同じ場所に繰り返し出没する習性が明らかにされた。さらに、防護ネット被害のメカニズムについては、素材や構造の異なる3種類のネットを対象に、複数台のセンサーカメラを設置した検証結果が示されている。
今後の展望
同局森林技術・支援センターは「これまでの知見を踏まえ、現地条件やコストに応じた防護ネットの選定や管理方法の普及に努めていく。林業と野生動物が共存できる持続可能な森林管理の実現に向け、調査研究と情報発信を進めていく」とコメントしている。



