ドイツ銀行リサーチ・インスティテュートは7月13日、世界各都市の物価や生活環境を比較したレポート「Mapping the World's Prices 2026」を発表した。今回で第10版となる同レポートは、6大陸69都市を対象に、生活の質、給与、住宅価格、家賃、外食、コーヒー、タクシー、スマートフォンなどの価格を米ドル換算で比較している。データは主に利用者投稿型データベース「Numbeo」を基に、ドイツ銀行が精査・確認を加えた。
物価が高い都市トップはチューリッヒとジュネーブ
レポートによると、世界で最も物価が高い都市の座はチューリッヒとジュネーブが争っており、テルアビブ、ニューヨーク、サンフランシスコが続いた。一方、主要先進国の中では、東京の物価の安さが際立っているという。
生活の質ランキング、ルクセンブルクが2年連続1位
生活の質を示すランキングでは、ルクセンブルクが2年連続で1位となった。以下、コペンハーゲン、アムステルダムが続き、ウィーンとミュンヘンが同率4位、フランクフルトが6位に入った。生活の質は、購買力、安全性、医療、生活費、所得に対する住宅価格、通勤時間、汚染、気候などを組み合わせて算出している。パリは43位、ニューヨークは46位、ロンドンは47位、香港は55位と、世界的な金融都市は高額な住宅費や長い通勤時間、汚染などが影響し順位が伸びなかった。
月額手取り給与はチューリッヒが世界1位
月額の手取り給与はチューリッヒが世界1位で、サンフランシスコ、ジュネーブ、ボストン、ニューヨークが続いた。過去10年間では中欧の都市で給与が大きく伸び、ブダペストは161%、プラハは121%、ワルシャワは120%上昇した。生活の質と家賃差引後の可処分所得の両方でトップ10に入ったのは、ルクセンブルク、コペンハーゲン、フランクフルト、ジュネーブ、チューリッヒの欧州都市のみで、米国からは一つも入らなかった。
日本経済の転機、AI導入と製造業・ロボット分野の強み
レポートでは日本について、「『高い国』から『非常に安い国』へと変化した」と指摘。米国を100とした場合の相対的物価水準は、1990年代半ばの173から現在は60まで低下。東京の中価格帯レストランの2人分食事代は69都市中57位、都心部の3ベッドルーム賃貸住宅家賃は40位、都心部マンション購入価格は25位。さらに、税金考慮後のiPhone販売価格は調査対象国中最安だった。
一方、物価の安さには賃金の伸び悩みも影響しており、東京の月額手取り給与は69都市中39位で、チューリッヒは東京の約3.5倍。しかし、人手不足を背景としたAI導入や、製造業・ロボット分野の強みが、今後の日本経済の転機になる可能性があるとの見方を示している。



