少子化問題の本質を探る連載の第二回。前回は合計特殊出生率(TFR)だけでは見えない構造を、無子率とCPM(Children per Mother)という指標で解説した。今回は具体的な数値シミュレーションを通じて、どの対策が効果的かを検証する。
3つのシナリオでシミュレーション
2024年の実績値(CPM2.10、無子率45.4%)を基準に、以下のシナリオを設定した。
- シナリオA:CPMを固定し、無子率を5%、10%、15%減少させた場合のTFR
- シナリオB:無子率を固定し、CPMをどれだけ上げれば各TFRを達成できるか
結果、無子率を5%下げるだけでTFRは1.20から1.33に上昇。一方、CPMを上げるだけでは効果が限定的で、無子率を下げない限りTFRは大きく改善しない。
無子率改善が優先される理由
CPMは過去30年ほとんど変わっていない(2.0前後)。つまり、既婚女性の出生行動は安定している。問題は未婚者と無子夫婦の増加だ。無子率を下げるには、初婚率を上げることが不可欠。特に20代の初婚率低下が最大の要因である。
都道府県別に見えてきた構造の違い
地域別に分析すると、無子率が高い地域ほどTFRが低い傾向が明確。東京都は無子率が突出して高く、CPMは全国平均並みだが、TFRは最下位。一方、沖縄県は無子率が低く、TFRが高い。この構造は、地域の結婚環境や雇用の安定性と相関している。
各自治体は「婚姻数5%増」を目標に掲げよ
具体的な政策として、各自治体が婚姻数を5%増やす目標を設定することを提案。結婚支援策や雇用安定化、住宅支援などを組み合わせれば、無子率低下と出生率向上が期待できる。単なる「子育て支援」ではなく、「結婚支援」へのシフトが必要だ。
少子化対策の議論は、しばしば「子どもを産め」というプレッシャーに傾きがちだが、実際には結婚のハードルを下げることが最も効果的。無子率という視点を取り入れた政策立案が急務である。



