女性初の南極観測隊長・原田尚美さん、中高生時代は「非科学的な部活」に悩み、化学の独学で目覚めた地球科学への情熱
女性初の南極隊長・原田尚美さんの中高生時代

2024年から2026年にかけての南極地域観測隊で、史上初めて女性隊長を務めた原田尚美さん(59歳)。彼女は読売中高生新聞のインタビューで、中高生時代の部活動や勉強、そして地球科学との出会いについて振り返るとともに、女性隊員として注目された当時の複雑な心境を明かした。

中学時代はソフトテニス部、非科学的な指導に悩む

原田さんは中学時代、ソフトテニス部に所属していたが、「あまり楽しくはなかった」と苦笑いする。当時は「練習中に水を飲んではいけない」といった非科学的な指導が横行しており、それがストレスだったという。「日が出ている間は部活、家に帰ると勉強で、結構忙しかった」と当時を振り返る。また、卒業文集で自分の名前を見つけ、読書感想文コンクールで佳作を取ったことを知り、「目立たない子どもだったが、一つは賞を取れていたんだな」と感慨深げに語った。

高校ではバドミントン部から帰宅部へ、アルバイトで社会経験

高校ではバドミントン部に入ったが、途中で帰宅部に切り替えた。その代わり、友達と喫茶店で長時間おしゃべりしたり、修学旅行で着るワンピースを買うためにスーパーでレジ打ちのアルバイトをしたりと、青春を謳歌した。「内気だったので、全く知らない人と話す経験ができたのはよかった」と振り返る。

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化学の独学で目覚めた理系の面白さ

高校時代、化学の授業が最初は理解できず苦手だったが、赤点を避けるために独学を始めた。有機化合物の分子構造を理解したことで、法則に従って反応が進む面白さに気づき、化学にのめり込んでいった。高2の時には、弘前大学から来た地震学の教育実習生の講義をきっかけに地球科学に興味を持ち、「身近な現象を学問的に研究することに新鮮さを感じた」と語る。高3で読んだ科学雑誌で地球温暖化について知り、当時はまだ一般的でなかったこの問題に衝撃を受けた。これらの経験が、弘前大学理学部地球科学科への進学につながった。

南極への憧れとチャンス、教官の反対を押し切って

大学院進学後、卒業論文の指導教員が南極での調査経験者だったことから、南極への憧れを強く抱くようになった。名古屋大学大学院に進み、ある日、当時の南極観測隊長から海洋粒子観測装置「セジメントトラップ」を使った観測への参加要請が舞い込んだ。指導教官は男子学生に声をかけたが、全員が卒業遅延を理由に断った。原田さんは「このチャンスを逃したら二度と巡ってこない」と直感し、即座に立候補した。教官は大反対したが、「博士論文以外に南極をテーマにした論文も書いて成果を出す」と説得し、渋々了承を得た。

女性隊員としての注目、苦い記憶

当時、女性の南極地域観測隊員は史上2人目であり、原田さんは記者会見に引っ張り出されるなど、大きな注目を浴びた。「私は男性隊員と同じように南極で経験を積み、プロジェクトを完遂したいという気持ちだった。『女性というだけで、この注目度は何?』と、すごく嫌な気持ちになった」と振り返る。その後、マンションに怪しい手紙が届いたり、警察官が訪ねてきたりと、個人情報が簡単に入手できた時代ならではの苦い経験も語った。

原田さんのインタビューは次回「挫折と挑戦」編に続く。

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