スイスで、二酸化炭素(CO2)を地下に貯蔵する実証試験が開始された。このプロジェクトは、温暖化対策として注目されるCCS(炭素回収・貯留)技術の実用化に向けた重要な一歩となる。
年間1500トンのCO2を地下に圧入
スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETHチューリッヒ)が主導するこのプロジェクトでは、同国西部のフリブール州にあるサイトで、年間約1500トンのCO2を地下約450メートルの深さにある帯水層に圧入する。これは、約300世帯の年間排出量に相当する。
試験は2025年まで続けられ、CO2の挙動や貯留の安定性を詳細に調査する。ETHチューリッヒのマルコ・マッツォッティ教授は「この技術が気候変動対策に大きく貢献できることを示したい」と述べている。
CCS技術の課題と可能性
CCSは、発電所や工場などから排出されるCO2を回収し、地下深くに貯蔵する技術で、気候変動を抑制する有効な手段の一つとされる。しかし、コストの高さや貯留の安全性に対する懸念から、実用化は進んでいない。
国際エネルギー機関(IEA)によると、世界で稼働中の大規模CCS施設は約20カ所にとどまる。スイスの実証試験は、同技術の実現可能性を検証する貴重な機会となる。
地元住民の理解も重要
プロジェクト関係者は、地元住民の理解を得ることも重要だと指摘する。貯蔵サイト周辺では、地震や地下水汚染のリスクを懸念する声もある。ETHチューリッヒは、透明性の高い情報公開と対話を通じて、住民の不安解消に努めるとしている。
スイス政府は、2050年までにCO2排出量を実質ゼロにする目標を掲げており、CCS技術はその達成に不可欠な要素と位置づけている。



