宇宙航空研究開発機構(JAXA)は20日、火星衛星探査機「MMX」を搭載した大型主力ロケット「H3」10号機の打ち上げに成功した。MMXは約5年間に及ぶ長期ミッションで、衛星フォボスに着陸して砂などの試料を採取する。試料を地球に送り届ける「サンプルリターン」に成功すれば、火星圏からでは世界初の快挙となる。
打ち上げの詳細と軌道投入
H3は同日午前4時41分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。MMX(全長約5メートル、幅約9メートル)は打ち上げから約1時間11分後、目標の高度約592キロ・メートル付近でH3から分離され、火星圏に向かう軌道に投入された。
ミッションの行程とサンプルリターン
MMXは来年8月に火星の軌道に到着し、2029年初め頃、フォボスに2回着陸して試料を採取する。その後、別の衛星ダイモスの近くを高速飛行しながら観測する「フライバイ」を経て、30年11月に火星圏を出発。31年7月に地球へ戻り、試料入りカプセルを豪州の砂漠地帯に投下する。
日本の探査機が天体試料のサンプルリターンに挑戦するのは、20年に小惑星リュウグウの試料を持ち帰った探査機「はやぶさ2」以来となる。回収した試料の分析を通じてフォボスの起源を特定し、太陽系形成のメカニズムの解明に迫る。
将来の火星探査への期待
各国は現在、火星が月の次に人類の活動圏になる可能性があるとして、探査を活発化させている。JAXAはMMXによって、今後の火星探査の拠点に衛星が活用できるかも検証する。JAXAの山川宏理事長は同日の記者会見で、「将来の探査活動の礎となる技術を獲得したい」と話した。