京都大学の研究チームは、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した肝臓組織をマウスに移植し、生着して機能することを確認したと発表した。この成果は、肝臓病に対する再生医療の実用化に向けた大きな前進となる。
研究の詳細
研究チームは、ヒトのiPS細胞から肝細胞や胆管細胞など、肝臓を構成する複数の細胞を分化誘導し、三次元の肝臓組織を作製した。この組織を免疫不全マウスの体内に移植したところ、約2週間で血管が形成され、肝臓特有の機能であるアルブミン産生や薬物代謝能が確認されたという。
論文は米科学誌「セル・ステム・セル」に掲載された。研究を率いた京都大学iPS細胞研究所の教授は「今回の成果は、肝臓の再生医療の実現に一歩近づいたと言える。今後は安全性や有効性をさらに検証し、臨床応用を目指したい」と述べている。
再生医療への応用
肝臓は代謝や解毒など多くの重要な機能を担い、一度損傷すると再生が難しい。現在の治療法は肝移植が中心だが、ドナー不足が深刻な課題となっている。iPS細胞由来の肝臓組織が移植に使えれば、多くの患者の治療につながると期待される。
研究チームは今後、より大型の動物での実験を経て、5年以内の臨床試験開始を目標に掲げている。実用化には、組織の大型化や長期間の機能維持などの課題があるが、今回の成果はその可能性を強く示すものだ。



