樹木が伝える数えきれないサイン『木を読む』書評、観察の楽しみを紹介
樹木が伝える数えきれないサイン『木を読む』書評

樹木の生き方や、その見た目から読み取れるメッセージを紹介した『木を読む』(トリスタン・グーリー著、高松夕佳訳、山と渓谷社・3300円)が刊行された。英国人の著者は、自然のサインを読み解く「ナチュラル・ナビゲーション」の第一人者。ほとんどの内容がフィールドワークによる観察経験に基づいており、読者は本書を参考にして観察を楽しめる。

実践的な内容とやわらかい語り口

文章はやわらかいストーリー仕立てだが、内容は非常に実践的だ。樹木の種類、生育場所ごとの違い、枝ぶり、幹、根、葉、葉の柄の部分に至るまで、樹木の姿から読み取れることが余すところなく紹介されている。専門用語をあまり使っておらず、誰にでも分かるように書いてあるのも良いところだ。

樹木が秘める膨大な情報

それなりの条件は必要になるが、枝ぶりを見るだけで、大まかな方角、よく風の吹く方角、成長の履歴、樹齢など、樹木は膨大な情報を秘めていることに気付くことがある。樹木は、思った以上に私たちにも読み取れるメッセージを残してくれている。

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観察のすすめと注意点

「さあ、木が送る数えきれないほどのサインに出会いにでかけよう。かれらの物語に入り込むには、外に出て実際に探すのが一番だ。木々の物語を読み、記憶する-それだけで、人生はより楽しく喜びに満ちたものになる」と著者は呼びかける。本書を読む際は一気に読むのではなく、身近な木を観察して内容を確かめながら、少しずつ読み進めるのが良い。

ただ、海外の翻訳本であるため、国内での樹木観察で、うのみにしてはいけなさそうな事柄もある。たとえば、マツやツガなど針葉樹の樹形について紹介されているが、日本で見られるものとは種類が異なり、樹形もやや違っている。とはいえ、正確な知見が求められる場以外、たとえば散歩の道すがら、樹木に親しむ分には問題はないだろう。

この秋、本書を片手に樹木のある場所に出掛けてみよう。今まで見向きもしなかった樹木たちが、多くの情報を秘めた生き物であることが読み取れるようになると思う。

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