テレビ番組の作り手に迫る連載インタビュー「テレビ屋の声」。今回は、テレビ東京の大森時生氏が登場する。大森氏は、『TXQ FICTION』などのフェイクドキュメンタリーから、ゴールデンタイムの『バカリズムのちょっとバカりハカってみた!』(毎週水曜20:54~ ※8月19日は18:25~)までを手がける。
『シナぷしゅ』で感じた“ルールがない”面白さ
大森氏は、『シナぷしゅ』について「近年のテレ東の歴史の中でも一番エポックメイキングな番組」と評し、「社会に必要だったけれど、これまで存在しなかったもの」をあのクオリティで見いだした功績は大きいと語る。自身もディレクターとして参加し、昨年度のオープニングとエンディング映像を担当。監督は『TXQ FICTION』などでもご一緒している川滝悟司氏で、その年のテーマ「トロピカルジャーニー」に合わせ、扉を通過するたびに赤ちゃんが成長していく姿を捉えた構成にしたという。
赤ちゃん向けコンテンツを作るにあたっては、「光の点滅を激しくしない」「カットをパカパカ切り替えない」「原色をうるさく使いすぎない」といった最低限のルールはあるが、それ以上は「ルールがほとんど存在しない」のが面白いと語る。赤ちゃんの反応を直接確認できないため、トライ&エラーを繰り返しながら自由に作る感覚が新鮮だと話す。
「それなりに得意」だったAD業務
大森氏は、テレビ局はテレ東しか受けていないという。大学時代はほとんど通わず、映画をたくさん見ていた。コンサルやソフトバンク、リクルートなどを受ける中で、上出遼平氏の『ハイパーハードボイルドグルメレポート』や、竹村武司氏らが作った『山田孝之の東京都北区赤羽』などのフェイクドキュメンタリーを観て「めちゃくちゃ面白い」と感じ、テレ東を受けて合格した。
AD時代は「それなりに得意だった」と振り返る。真面目で怒られるのが嫌だったため、徹底的にミスがないようにやっていたという。ディレクターになったのは『ありえへん∞世界』からで、テレ東は比較的早くディレクターをやらせる文化だと説明する。
テレ東の強みと弱み
「師匠」と呼べる人はいるかという問いには、テレ東にはノウハウの伝承という概念が異常に存在しないと語る。日テレの古立善之氏や高橋利之氏のメソッドが明確に伝承されているのに対し、テレ東にはそれがなく、だからこそ佐久間宣行氏や高橋弘樹氏のような特異点が生まれるのかもしれないと述べる。一方で、『ありえへん∞世界』のプロデューサー・演出からは、視聴率をとるために真剣に向き合う姿勢を学んだという。



