TBS系火曜ドラマ『君の好きは無敵』(毎週火曜 後10:00)が、サンリオの異例の取材協力で話題を集めている。元コンサルタントの草壁杏奈(松本若菜)と、偏屈なキャラクターデザイナー・瀬尾深月(佐野勇斗)が、大ヒットキャラクターの誕生を目指す“お仕事ラブコメディ”だ。SNSでは「元気をもらえる!」「火曜日が楽しみ」といった反響が寄せられている。
サンリオが“異例”の協力を決めた理由
これまでの映像作品でもサンリオキャラクターやグッズが登場することはあったが、今回は単なる“貸し出し”ではない。キャラクターをゼロから生み出す過程やビジネスの舞台裏まで深く入り込むべく、サンリオのキャラクター開発・育成部門へのインタビューを実施して制作された。
岩崎愛奈プロデューサーは、「1つのキャラクターが生まれる過程に、どんな人たちがどんな思いで関わっているのかを描いてみたかったんです」と企画意図を語る。年齢や性別を問わずバッグにキャラクターをつけた人が増える中、「キャラクターとはなんなのか?」「このポジティブなパワーはどうやって生まれているんだろう?」と興味を持ち始めたという。
サンリオのブランド管理本部・柳宏明さんは、「キャラクタービジネスを描きたい」と思ってくれて、かつサンリオをご指名してくれたならば、ぜひお応えしたいと思ったと話す。決め手は、岩崎さんが「なぜキャラクターがこんなに人を魅了したり、元気づけたりするのか」という原点的なパワーを描きたいと語った点だった。「ブームだから取り上げるのではなく、もっと本質的な部分を描きたいという熱量に心を動かされました」と明かす。
クリエイティブとビジネスの葛藤
ドラマでは、著作権の取り扱いやライバルとの競争など、キャラクタービジネスのシビアな面も描かれる。サンリオ社内で「ここまで描いていいのか」と議論になったことは? 柳さんは「そこは包み隠さず自然体でお答えしました。ただ、登場人物に近いお仕事をされている方が傷つくような表現は避けたいという議論はありました」と振り返る。
岩崎Pは「今回描きたかったのは、キャラクターに込められた『みんなを元気に幸せにしたい』という思いや、どれだけ大切に作られているかという点。だからこそ困難が立ちはだかることもある、という事実にはちゃんと向き合いたかった」と語る。一方で、掘り下げすぎて視聴者が重い気持ちにならないよう、バランスは慎重に考えたという。
現実のキャラクタービジネスでも、確実な売上を求めるマーケティングデータと、数値化できないクリエイターの直感や熱量がぶつかることはあるのか。柳さんは「最後は直感と熱量がものを言うと思っていますが、そこに至るまでにデータや数値、仮説などを検討することが必要です。意外とクリエイター=直感的というわけではなく、直感や熱量が大事になるからこそ、検討の過程でデータや数値に真摯に向き合っている方が多いと感じますね」と語る。
“かわいい”の輪を広げた現場の実験
ドラマ6話では、2人が作り上げたキャラクター・チュチュチュエラのターゲットを「会社のおじさん」に設定した。その背景には、制作現場で行われた“実験”があったという。岩崎Pは「ドラマの企画が決まった時、監督陣は男性が揃っていたこともあり『俺おじさんだし、『かわいい』がよくわからないけど大丈夫かな』とこぼしていた」と明かす。
そこで実験的に「みんな、仕事中にぬいぐるみをそばに置いてみよう」と考えた。結果、社内が少しざわついたが、「監督、めちゃかわいいです!」と会話が生まれたという。「本人もふわふわしたかわいいぬいぐるみが近くにいてくれるとつい手を伸ばしたくなるし、撫でると心が落ち着くという発見もありました。だんだんと愛着が湧いて、ぬいぐるみを打ち合わせに同席させる監督もいました(笑)」と振り返る。
柳さんは「あれを見て、今以上に『かわいい』の輪が広がっていけばいいなと思っていたのですが、実際に現場でそんなことが起きていたなんて嬉しいです」と喜んだ。
長く愛されるために不可欠な要素
キャラクターとドラマ、どちらも長く愛されるものを作るために不可欠な要素について、柳さんは「キャラクターが持つ個性や原点、固有の良さを守ることが大切です。15年、20年以上続いているキャラクターにとって、世間の注目を多く集める時もあれば、そうではない時期もあります。例えばシナモロールやポムポムプリンも例外ではありません。そういう時こそ原点に立ち返る」と語る。
さらに「支え続けてくださる根強いファンの方々の存在が大きな力になります。同時に、時代に対して柔軟であることも欠かせません。守るべきものを守りながらも、時代の変化やお客様の価値観の変化に合わせて進化していかなければ、長く愛されるチャンスを逸してしまうので、この2つのバランスが非常に大事だと思っています」と続けた。
岩崎Pは「今まさに模索している最中ですが、作った人の愛情や思いが込められたものは受け手にも伝播していくのではないかと思っています。だからこそ、情熱を持って大切に作ることは不可欠です」と語る。その上で「目まぐるしく変わっていく時代の中で、価値観や考え方を決して押し付けがましく描かないこと、そしてその先にいるドラマを観てくださる人のことを想うことは、いつも自分に課していることです」と話した。
最終回に向けて、岩崎Pは「『好き』と『かわいい』の力を原動力に、みんなが邁進していく物語であることを最後まで貫きたいと思っています。『好き』という気持ちは、ものすごく強いパワーを発揮します。もちろん足踏みしてしまうのも人間ですが、『好き』を糧にどう困難を突破していくのか。そしてタイトルに込めた想いを受け取って頂けたらとても嬉しいです。最後まで抜かりなく、パワフルにかわいく作り上げますので、ぜひ最終回までお付き合いいただきたいです」と呼びかけた。



