スネ夫流会話術:『ドラえもん』から学ぶその場の空気を支配する極意
スネ夫流会話術:空気を支配する極意

誰しも、いつの間にか会話の主導権を握られてしまった経験があるだろう。『ドラえもん』に登場する骨川スネ夫は、そのような「空気を支配する」術に長けたキャラクターだ。富山大学名誉教授でドラえもんアナリストの横山泰行氏が、スネ夫の手口を分析し、その極意を解説する。

スネ夫のじらし戦法

スネ夫は、自慢話や秘密情報をちらつかせて相手の興味を引く。例えば、『てんとう虫コミックスドラえもん 第19巻』(小学館)第14話「影とりプロジェクター」では、スネ夫は「ぼくのパパの友だちに、テレビ局のレポーターがいて、いろんな情報が入ってくるんだ。ちょっと人にもらしちゃぐあいの悪い話もね」とじらし戦法に出る。しずかちゃんやその友だち、のび太までもが「聞かせて!」と身を乗り出す様子が描かれている。

さらにスネ夫は「のび太は、口が軽いからだめ」と仲間はずれにし、ふたりの女の子だけに「これは今のところうわさにすぎないのでぜったいにしゃべらないでほしいんだけど」と前置きする。そしてのび太を残して、スネ夫とふたりの女の子は立ち去ってしまう。遠くから「秘密は守るわ」「えっ、あの純情そうなスミレちゃんが!?」「まさか、そんなこと!」と芸能談義が漏れ聞こえてくる。のび太はとぼとぼ家へ向かうのであった。

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スペシャル感を演出する絶妙なテクニック

スネ夫はじらして期待を煽るのが上手い。『ポケット版「スネ夫」という生きかた』(アスコム)でも触れられているが、のび太が仲間外れにされるのはかわいそうだが、スネ夫は「モテたい」という下心もあり、あえて女子だけに情報を提供してスペシャル感を出している。これも演出のうちだ。

この「大ネタをじらす」手法は「クライマックス法」と呼ばれる。大ネタがある場合、先に暴露するか、最後にとっておくかは状況次第だ。横山氏は「クライマックス法」と「アンチクライマックス法」の2通りを頭の中で準備しておくことを推奨している。簡単に言えば、誰もが食いつきそうなネタがあるときは話を「引っ張る」。逆に反応が悪いときは、最初から「爆弾」(大ネタ)を「投下」したほうがよい。

スネ夫に学ぶ演出家の心得

スネ夫を見習って演出を始めてみると、演出家とは頭を使う大変な仕事であることがよくわかる。しかし、その努力が会話の主導権を握る鍵となる。スネ夫流のテクニックを日常生活に応用すれば、あなたもその場の空気を支配できるようになるだろう。

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