ロックバンド「スターダスト☆レビュー(スタレビ)」が9月26日、東日本大震災の被災地でもある岩手県釜石市で2回目の野外ライブを開く。喉頭がんで声帯を失いながら、メンバーの支えのもとライブ活動に復帰したVOH林さんも出演予定だ。
バンドリーダーでギター・ボーカルの根本要さん(69)は、2024年9月21日に土砂降りの中で開催された1回目の野外ライブの光景を「克明に覚えている」と振り返る。
「釜石の風も歴史も、あそこでしか感じられない景色がある」
根本さんは「釜石の風も歴史も、あそこでしか感じられない景色がありますよ。たった1回しかやっていないのに、克明に覚えているんだから。肉離れを起こしたのもあったんだけどね(笑い)」と当時を振り返った。
スタレビは野外ライブを愛するバンドだ。その土地ならではの景色や風、時間の経過を感じられること、そして観客の顔が見えることが魅力だという。
2年前のライブ会場では、地元・釜石の人たちがボランティアとして活躍し、「足元が滑るから気をつけて」などと笑顔で観客を誘導した。根本さんは、ボランティアに感謝する参加者の声をSNSで見つけてうれしくなったといい、「そんな風に初めての僕らをウェルカムしてくれて、ありがたいよね」と話す。
きっかけはラグビー界のレジェンド・松尾雄治さん
スタレビと釜石をつなぐきっかけとなったのが、新日鉄釜石の黄金期を築いた名選手でラグビー界のレジェンド、松尾雄治さん(72)。根本さんとは旧知の仲だ。
2016年、スタレビが近隣の岩手県陸前高田市で復興応援の無料ライブを開くことになり、松尾さんが「釜石にも行かないか」と根本さんを誘ったのが端緒だ。2人は市内でトークライブを行い、地元の人たちとも交流の場をもった。
根本さんは、旅館のおかみさんから聞いた話が忘れられないと振り返る。東日本大震災後に持ち上がった、巨大な防潮堤をめぐる議論の話だった。
「(新たな)防潮堤をつくらないことで、100年後にののしられるかもしれないが、この釜石の景色を子どもたちに見せてあげたかった」とおかみさんは言ったという。
根本さんは「そんな話、なかなか聞く機会ないじゃないですか。語ろうとする気持ち、それは僕らも同じだな、と。なぜこの街でコンサートをやるのか。お客さんには音楽だけ楽しんでもらえればいいんだけど、僕らはいつも理由を持って、いろんな街に行きたい」と語る。
「ありえない」と思っていたスタジアムライブ
釜石は当時、3年後の2019年にラグビーW杯開催を控えていた。根本さんたちは、鵜住居のスタジアム予定地も歩いた。
「ラグビーのスタジアムといえば、何万人という単位でしょう? 自分たちがそこで演奏するなんて考えたこともなかったし、『いつかスタレビで』と言われても、ありえないって答えていた」という。
しかし、W杯が終わり、地元との関わりを経て、今年9月の野外ライブ開催に至った。VOH林さんも出演予定で、その思いや近況が注目される。



