81回目の原爆忌を迎えた広島は6日朝、鎮魂の祈りに包まれた。被爆3世で栃木県在住のミュージシャン、中島伸雄さん(38)は、亡き祖母の被爆体験記を読んで心を動かされ、平和を願う曲を作り、6日、原爆投下時刻にユーチューブで公開した。
「へいわのうた」に込めた思い
「言葉だけでは伝えきれない あなたの願いを 明日につなげるために この場所に生まれて育った僕だから へいわのうたを 一生懸命歌います」
タイトルは「へいわのうた」。ゆったりとした旋律に乗せて「みんなの笑顔が永久(とわ)に続きますように」と歌い上げる。
祖母の被爆体験
祖母の中野泰子さんは当時17歳。通勤途中に爆心地から2.5キロ付近で被爆した。自身の命は助かったが、父を失った。2023年9月に95歳で亡くなった。
中島さんは広島県呉市出身で、東京での会社勤めを経て16年に栃木県に移住した。学生時代に熱中した音楽を再開し、「のぶおばんど」として活動する。
消えた笑顔と平和の言葉
小学生の頃、中島さんは祖母に被爆体験を尋ねたことがある。その瞬間、祖母の顔から笑顔が消え、黙り込んだ後、「平和が何より大切」と繰り返した。中島さんは「それ以上は何も聞けなかった」と振り返る。
今年、中島さんは栃木県の遺族代表として平和記念式典に参列することになった。5月、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(広島市中区)を訪れ、祖母が生前、同館に託していた体験記と初めて向き合った。
「ガラスの破片等がささり血みどろになっていました」「視力も落ち頭髪もぬけ、現在は左眼は全く見えません」――。リアルな内容に突き動かされ、「へいわのうた」を紡ぎ出した。
6日、中島さんは「『平和が何より大切』という祖母の言葉の重みを実感する。小学校などで演奏していきたい」と語った。



