クレイジーケンバンド新作「何?」、横山剣がAI活用と危機感語る
クレイジーケンバンド新作「何?」、横山剣がAI活用と危機感語る

クレイジーケンバンドが新作「何?」(ユニバーサル)を発表した。リーダーでボーカルの横山剣は、AI(人工知能)が人類の知能を上回る技術的特異点「シンギュラリティー」に「近づいているかもしれない。マズいんじゃないか」と危機感を感じつつ、「今はまだ楽しめている」という現状認識を反映させた作品だと明かした。

AIとの向き合い方

「AIは結構うそをつく。とぼけることもあるし、ずる賢くなった。バンドの代表曲を聞いたら、『親父のバイク』だって。そんな曲はないから、実際に作ってやろうかと思いましたよ」と横山は語る。

ファンクに演歌、歌謡曲とジャンルが入り交じるごった煮のような音楽性に、抜群のリズム感覚を伴う演奏。肉体性を帯びた作風はAIの対極にあるようだが、本作では少しだけ活用した。ジャケットはAIにバンドの写真を読み込ませ、合成したもの。収録曲の「eye catch 何?何?何?」では、AIにキーボードソロを任せた。

作曲は「脳内AI」

ただ、活用はその程度。「作曲では一切使っていません。脳内AIがあるので、必要ないんです」。AIの欠点は、全てが過去のデータに基づくことだと見る。「人間が作曲すると、過去にない『何だこれ』というものが出てくる。自分でもびっくりするような、説明のつかない何かが」。今作には「AIにはこんなものできないだろう」という自負が見え隠れする。

作品とキャリアへの思い

「心配無用節―無添加―」は<心配無用です>という演歌調の歌い回しが、一度聴いたら忘れられない。「口笛を吹きながら夜を行け」は作家の五木寛之が作詞を手がけた。横山の著書「僕の好きな車」を五木が読んだのをきっかけに対談し、意気投合したという。

圧倒的な歌唱力と演奏が、ごった煮状態の音楽を力強く支える。「五木先生はクレイジーケンバンドのことを『闇鍋』と言いましたけれど、この闇鍋的なグルーブは、昨日今日の人ではできないと思うんですよね」

横山自身はクールスR.C.のメンバーとして1981年にデビュー。その後、職業作曲家としても活動し、97年にバンドを結成した。筒美京平や村井邦彦、いずみたくに憧れ、「曲を有名にして、自分は無名がいいと考えていましたが、誰も曲を使ってくれない。自分を専属歌手にすればいい、とクレイジーケンバンドを結成しました」。

デビューから今年で45年。理想を追求した結果が、今のスタイルだ。「ブレブレで自分でも何がしたいのかわからなくなった時期もありましたが、整った感じです」と、自身のキャリアを総括した。

今月から来年3月まで全国ツアー中。