「あーあ、ここもダメかあ」――漫画家の倉田真由美氏(50代)が伊豆を訪れた際、ある博物館の前に立ち尽くした。その博物館は「怪しい少年少女博物館」。周囲には文字通り怪しい、意味不明なオブジェがごちゃっと並び、無秩序な風景が広がっていた。その光景に、倉田氏はなんとなく見覚えがあるような気がしたという。
蘇る10年以上前の記憶
「昔、夫と来たかも……」
10年以上前、子どもが小さい頃に訪れた記憶が蘇ってきた。当時の倉田氏は旅先で写真を撮る習慣が根付いておらず、記録が残っていない。そのため、いくつもの思い出が記憶の彼方に消えてしまっていた。しかし、この博物館の怪しい雰囲気が、その記憶を呼び覚ましたのだ。
「本当ですか」と同行者が尋ねると、「うん。確か、ここだったと思う」と倉田氏は答えた。
夫との共通の趣味
ふとよみがえった夫との思い出。どんなものが陳列されていたかはっきりとは思い出せないが、夫も楽しんでいたような覚えがあるという。夫もまた、「怪しいもの」「不気味なもの」「奇妙なもの」が好きだった。夫婦で映画や漫画などの趣味が合っていたのは、このダークな好みの合致も大きかったと倉田氏は振り返る。
「どうだったか、中を見たいなあ」と倉田氏がつぶやくと、同行者の2人が「明日、帰る前にまた来ましょうよ。私たちも、観たいですから」と言ってくれた。その言葉に甘え、翌日チェックアウト後に再訪することを決めた。
宿に向かう前に
その日は宿に戻る前に、近くの「伊豆高原・旅の駅」に立ち寄ることにした。車を走らせると、旅の駅はわりと空いていた。次ページでは、1つ500円のソフトクリームの味について紹介されているが、本稿では割愛する。
倉田氏は現在、おひとりさまとして人生後半の独り旅を楽しんでいる。この博物館の再訪が、どのような感慨をもたらすのか。続きは次ページ以降で語られる。



