『LINEマンガ webtoon大賞 2025』で、よもぎもちと氏の『最前線結婚』が最優秀賞に輝いた。賞金1000万円に加え、連載確約とグローバル配信権を手にした。受賞作は、ロマンスファンタジーにバトル要素を融合させた作品で、特別審査員から「一線級の作品にも通じるクオリティ」と評価された。
会社員として働く作者が描く、戦うヒロイン
『最前線結婚』の舞台はゴールド王国。辺境伯令嬢クリステル・ジュエルは、第一王子との婚約話が舞い込む。王妃として国を守る決意をするが、第一王子は歓迎していない様子。戦う強きヒロインの表情や、スマートフォンでの閲覧に最適化された縦読み(ウェブトゥーン)ならではのテンポの良さが評価された。
よもぎもちと氏は、受賞の喜びを語った。「とても驚きました。数ある作品の中から選んでいただけて、本当にうれしかったです。賞金1,000万円という大きな賞をいただくプレッシャーを感じつつも、それに見合う作品を制作できたことをとても喜ばしく思っています」
ウェブトゥーンとの出会い、そして受賞まで
賞金の使い道については、「正直、まだ検討中ですが、作画に使う素材や機材、パソコンやペンタブレットなどに使いたいと考えています。あとは作業デスクや椅子も新調して、より良い制作環境を整えられたらいいですね」と話した。
ウェブトゥーンに挑戦しようと思ったのは、2013年頃に初めて読んだことがきっかけだという。「縦にスクロールして読む新鮮さや、スクロールを生かした躍動感のある演出に感激して、自分でも描いてみたいと思うようになりました」
マンガ家を目指したのは小学生の頃。それまでは好きなマンガの模写や、自分が楽しむための作品を描いていた。インターネットの普及後は、お絵かき掲示板に投稿するようになり、「見てもらうための絵」を描くように。高校で美術、専門学校でデザインを学び、その後は広告代理店でデザインの仕事をしながら、趣味でインターネットやSNSに作品を発信し続けている。
「スマホ一画面」で読ませる演出術
『最前線結婚』の構想について、よもぎもちと氏は「もともと少年マンガのようなバトルアクション作品が好きで、これまで描いてきた絵もロマンスファンタジーとはかけ離れたものでした。ところが、初めてロマンスファンタジーを読んだときに、絵画のような演出や美しい登場人物、豪華な装飾に惹かれて、『自分でも描いてみたい!』と思ったんです」と経緯を説明。「ロマンスファンタジーも描きたい。でも戦闘シーンも描きたい。それなら女主人公に戦ってもらって恋愛もしてもらおう」と考え、構想を練り始めた。
タイトルには「戦いの最前線で結婚式を挙げるようなロマンスを描きたいという思い」が込められている。主人公クリステルは「“戦う女主人公”をコンセプトにした、強くてかっこいい女性」で、最もこだわったのは「ロマンスファンタジーのお嬢様らしくない表情」だと語る。感情が伝わるよう表情を描き、セリフも含めて「今、主人公が何を考え、何を感じているのか」が読者に伝わるよう意識したという。
ウェブトゥーンの演出では「スマホの画面に収まる情報量」を意識した。一画面に情報を詰め込みすぎず、吹き出しの位置やコマ間、オノマトペも違和感がないよう配置。視線が集まりやすい画面中央に見せたい場面を収めるよう工夫した。横読みマンガとの違いについては、縦スクロールでは「アニメーションのような演出ができたり、縦長の構図を生かして奥行きやグラデーションのある表現ができたり」と、その表現力の高さを魅力に挙げた。
マンガが選ばれ続けるために、そして未来へ
若年層の“マンガ離れ”については、「ある意味では仕方のないことだと受け止めています。今はマンガだけでなく娯楽全体が飽和していて、“どれだけ時間を使ってもらえるか”の競争になっています」と語る。「短い時間の中でも読者を引き込める演出や物語づくりが、より重要になっている」と感じている。
今回の受賞作はグローバル配信も決まっており、「日本だけでなく世界中の方に読んでいただけるのは、本当に素晴らしいことだと思っています。多くの方に作品を楽しんでもらえることは自分の自信にもつながりますし、日本のウェブトゥーンを盛り上げる一助になれたらうれしいです」と期待を寄せた。
最後に、読者へ向けて「今回受賞した『最前線結婚』をもとに、新たな作品を構想中です。連載開始まで少しお時間をいただきますが、読者の皆さんに楽しんでいただける作品を届けられるよう、全力で制作してまいります。作品を見かけた際は、ぜひ読んでいただけたらうれしいです」とメッセージを送った。



