長崎市の鈴木史朗市長は25日の記者会見で、台湾の台北駐日経済文化代表処が今月9日の平和祈念式典での席次を巡って抗議したことについて、「このような事態となっていることを重く受け止めている」と述べた。台湾については「深い信頼を築いてきた重要なパートナー」と改めて訴え、信頼関係の維持に努める考えを示した。
台湾側の抗議と市長の対応
台北駐日経済文化代表処の李逸洋代表は9日、長崎市が代表団の着席場所を「外交団エリア外にあえて配置した」として、「厳正に抗議する」との声明を発表。李氏は式典を欠席し、台北駐福岡経済文化弁事処の処長ら3人が出席した。
鈴木氏は、市と台湾側との間でやり取りが続いているとした一方、「詳細については差し控えたい」と説明した。
台湾との関係強化を強調
鈴木氏は、台湾について「経済、文化、観光、人的交流など幅広い分野で深いつながりを持つ重要なパートナーだ」と強調。81年前の原爆投下で台湾出身者も犠牲となったことや、市が台湾在住の被爆者を対象とした健康相談事業を実施していることにも触れた。
自身も、国土交通省時代に日台間の観光交流促進に携わり、海上保安庁では海上犯罪の取り締まりを巡る双方の海上保安当局の連携を担当したと説明。「台湾の皆さまと信頼関係と友情を育ませていただいた」と振り返り、「経済、文化、社会での大切なつながりを、未来志向で持続可能な形で発展させることが極めて重要だ」と語った。
中国は2年連続欠席
市によると、席次を巡って市に寄せられた電話は24日時点で約400件、メールなどは約250件。長崎市の対応に反対する意見などが寄せられているという。担当者は「一定の対応は必要となっているが、大きく業務に影響するまでには至っていない」とした。
長崎市の平和式典を巡って、中国は昨年8月に続き、今年の式典も欠席している。鈴木氏は、「理由について中国の方から何の説明ももらってないので、コメントをしかねる」と述べるにとどめた。その上で「中国は核保有国だ。その意味で、中国の代表が参加し、平和の尊さを共有し、被爆の実相について認識を持ってもらうことは大変重要だ」と強調。「そのため今後中国の代表が平和祈念式典へ参加することを期待したい」と述べた。



