三笠市の山崎ワイナリーは、個人農家として道内で初めて果実酒製造免許を取得し、道産ピノ・ノワールの先駆けとなった。現在は兄弟が受け継ぎ、年間約25銘柄を醸造している。
ピノ・ノワールへの挑戦
畑作農家の山崎和幸さん(73)は1998年、欧州系品種「ピノ・ノワール」の作付けを開始。2002年、個人農家として道内初の果実酒製造免許を取得し、ワイナリーを創設した。栽培が難しい品種とされるが、比較的安定した気温や病害を抑える南風などを生かし、試行錯誤を重ねて道産ピノ・ノワールの先駆けとなった。現在は亮一さん(45)、太地さん(40)の兄弟が引き継いでいる。
三笠市街から達布へと続く丘の上に、山小屋を思わせるショップや醸造棟、約14ヘクタールのブドウ畑が広がる。空知を代表するワイナリーとして知られる。
土地と人を映すワイン
太地さんは「その年の三笠の気候や街の表情を思い出すワインにしたい」と語る。暑い年や街を盛り上げようと力を合わせる人々の姿は、果汁を酸素に触れさせて醸造し、華やかで力強く表現する。炭鉱で栄えた街の面影は、酸素を遮断して静謐に仕立てるという。移ろう街の姿を映すワインは年ごとに異なる味わいに仕上がる。
七つの地層が連なる畑で計10品種を栽培し、年間25銘柄ほどを醸造。試飲したシャルドネは柑橘の香りに澄んだ酸と果実味が重なり、鉱物のようなシャープさが地層と化石の街・三笠を思わせる。
地域と共に
太地さんは「良いワインから、良い地域の未来をつくれたら」と話す。三笠市がある空知地方には現在、11か所のワイナリーがあり、後志地方に次ぐ道内有数のワイン産地だ。醸造用ブドウ栽培は1970年代、コメの生産調整などを背景に浦臼町の鶴沼地区で始まり、2000年代以降は小規模な造り手も増加。昼夜の寒暖差で糖度が高まり、酸を保つ気候が発展を支えた。
三笠市は多様な地層や歴史を有する「三笠ジオパーク」で知られ、山崎ワイナリーでは地質や鉄道史などを想起させるワインづくりなど、地元学芸員らとともに地域の魅力発信に取り組んでいる。
フラッグシップのピノ・ノワール「ピノ・ノワール紺2024」(赤)は赤い果実や針葉樹林を思わせる香りが特徴。「シャルドネ紺2024」(白)は柑橘や鉱物などの複雑な香りを楽しめる。いずれも税込み4400円(750ミリ・リットル)。畑の区画や醸造法などでラベルの色が異なる。
山崎ワイナリーは三笠市達布791の22。道央道三笠IC、JR函館線峰延駅からそれぞれ車で約5分。商品は直営ショップやメールなどで購入可能で、直営ショップの営業時間は土日、祝日の午前10時~午後5時。問い合わせは同社(01267・4・4410)。