高崎市通町で老夫婦が営む人気洋食店「デルムンド」を描いた絵本「ふたりのデルムンド」が今月、刊行された。間もなく開店50周年を迎える記念にと、常連客たちが出版した。看板メニューの誕生秘話や店の歩みなどが紹介されており、店主の高橋康夫さん(76)は「絵本になるのは誇らしい。ますますやる気が出てきた」と喜んでいる。
開店50周年を祝って出版
店は1978年にオープン。高橋さんと妻の恵美子さん(75)が切り盛りし、行列の絶えない人気店として知られる。一番人気の看板メニューは、ミートソーススパゲティにハンバーグをのせたボリューム満点の「ハンブルジョア」。客の要望で誕生し、ブルジョア的なぜいたくさが名前の由来となった。なくすには惜しい高崎の絶品グルメ(絶メシ)にもリストアップされている。
絵本を手掛けたのは、オープン当初から店に通うグラフィックデザイナー横田一男さん(75)(さいたま市)たちだ。横田さんは1977年から高崎高島屋の広告宣伝スタッフとして勤務。社員食堂に飽きた頃、近くにデルムンドが開店し、連日通い続けて高橋さん夫婦と親交を深めてきた。
店の日常を描く
開店50周年記念のプレゼントを考えていた時、高島屋時代の友人で絵本の出版社を経営する「はじ芽企画」(東京都)の森田一さん(76)と絵本を制作しようと意気投合。高島屋OBの装丁デザイナーと3人で店を取材し、森田さんが文章、高島屋OBの画家が絵を担当して絵本が出来上がった。
あらゆる料理の基本となるブイヨンを丁寧に作っていること、料理や接客に決して手を抜かないこと。絵本で描かれる店の日常の中に、夫婦の誠実な人柄もにじむ。現時点で店に後継者はおらず、最後は「誰か、いい人がいたら、この店のバトンを渡したいな」と結んだ。
夫婦の思いと今後の展望
森田さんは「料理はリアルに描かれ、食指が動く絵本になった」と語り、横田さんは「一から料理を作るすばらしさを表現できた」と話す。高橋さんは「絵本にはうちの歴史が全て入っている。2人で細く長くやっていきたい」と喜んだ。
絵本はA4判32ページで、価格は1650円(税込み)。全国の書店やインターネットで購入できる。問い合わせははじ芽企画(090・1050・0195)へ。