益田市観光協会と一般社団法人「ますだプライドクリエーション」の会長を務める河上信男さん(67)は、観光客減少を受けて、食を中心とした情報発信に力を注いでいる。新たに製作した観光PRポスターは、石見神楽の神やシバ犬が市内を巡るデザインで、山陰道の開通や日本遺産の認定継続を追い風に、観光振興への意気込みを見せる。
観光入込客数は前年比7.7%減
旧美都町出身の河上さんは、高校卒業後に建設会社を経て、1979年に土木技師として町役場に入庁。2004年の益田市との合併後は観光施策や産業振興に関わり、産業支援センター所長時代には地元農家とともに特産のユズを使ったサイダーやせっけんの開発を手がけた。2018年から2025年まで副市長を務め、2025年春に両団体のトップに就任した。
益田市には高津川の清流やアユ、わさびなどの食の魅力があるが、2025年の県観光動態調査によると、市内の観光入込客数は前年比7.7%減の約73万人にとどまった。萩・石見空港はあるものの、その他の交通の便が良くないことが要因の一つとされる。
食を軸にした動画とポスター
観光客のニーズを把握するため約2000人を対象にアンケートを実施したところ、特に関心が高い分野は「食」だった。そこで食を通じたPR活動を進め、JR益田駅近くの歓楽街「新天街」や市内の飲食店を紹介する動画を製作し、動画投稿サイト「ユーチューブ」に計18本を投稿した。テレビ番組で「日本一の居酒屋」と紹介された老舗店の動画は約1万回再生された。
さらに、より印象に残る観光PRポスターとして、「偏な町じゃ。」をキャッチコピーに、石見神楽で登場する疫病退散の神「鍾馗(しょうき)」と市発祥のシバ犬が高津川や新天街、萩・石見空港を巡ったり、地元のグルメを楽しんだりする様子をデザインした計4種類を作成した。
追い風を受けてさらなる発信へ
浜田市と益田市を結ぶ山陰道「三隅・益田道路」が3月に開通し、9月には日本遺産に認定されている益田市内の文化財群の認定継続が決まるなど、地元観光へ追い風が吹いている。「益田のいいところを発信して、観光でリードできるよう知恵をしぼりたい」と河上さんは意気込んだ。