津市大門3の1にある「奥山銘木店」は、以前から経営していた建築資材会社の倉庫や事務所として使っていたスペースを改装し、2006年に書店としてオープンした。現在は約9000冊を扱い、住宅やインテリアの専門書や雑誌の割合が高いのが特徴だ。
倉庫の面影を残す店内
店内のコンクリートの柱はむき出しで、天井や床にはペンキの跡が残る。本棚は鉄製が多く、床は倉庫として使っていた時と同じ鉄筋コンクリート。本棚やドアなどには、東南アジア原産の広葉樹「ラワン」を配し、木目が少なく落ち着いた色で、無機質すぎないよう調和の取れた空間を目指したという。
開店当時、個人経営の書店は周囲に少なく、棚に置く本や雑誌はほぼ手探りで考えた。建築資材会社ならではの本を多く取りそろえており、建築分野を研究する大学生からは「入手するのが難しい専門書があり、重宝している」との声が寄せられている。小説やエッセー、アートの本や写真集なども扱い、流行にとらわれず、面白いと感じた本を置くようにしている。
店主おすすめの3冊
店主の奥山健太郎さんが今回おすすめする1冊目は「家づくりのお手本 増補改訂版」。埼玉県内で1級建築士事務所「アンドウ・アトリエ」を主宰する安藤和浩さんと妻の田野恵利さんが自分たちの住生活から見いだした「心地よい家」に必要な72の工程が間取り図や写真と一緒に紹介されている。夫婦が猫と暮らすための改装工事も盛り込まれ、プロの建築家向けだが、挿絵もあり、DIY(日曜大工)に興味のある方にも人気がある。
2冊目は「乙一デビュー30周年記念自選短編集 1996―2026」。ミステリー作品などを手がける小説家乙一さんが自ら選んだ短編を収録した記念の一冊で、書き下ろしの1編を含む9編を収録している。乙一さんの魅力は、淡々と描かれる狂気や残酷さと、胸を締め付けるような切なさの二面性にあり、奇妙な設定から始まる物語も多く、思いもよらない方向へ展開するストーリーも面白いところ。どの作品にも独特の静寂さが漂い、読み終えた後に残る静けさと余韻も魅力だという。
夜の過ごし方にヒント
3冊目は月と文社「何も起きない夜日記」。会社員や主婦、博士課程の学生など17人がそれぞれの平日夜の過ごし方をまとめている。スマートフォンを見て浪費しがちな夜を、充実した時間にするための17通りのヒントが得られる一冊だ。
奥山銘木店の営業時間は午前11時~午後8時。日曜、祝日は午後7時まで。水曜定休。問い合わせは059・226・2621。