テレビ朝日のアナウンサーとして『報道ステーション』のメインキャスターなどを務めた富川悠太氏が、45歳でトヨタ自動車へ転職した経緯を明かした。2019年に設立されたオウンドメディア『トヨタイムズ』を、元テレビ東京アナウンサーの森田京之介氏とともに牽引する富川氏が、転職の決め手や豊田章男会長の実像について語った。
「挑戦するなら今だろう」45歳で決意した転身
富川氏とトヨタとの関係は、テレビ朝日で活躍していた時代に始まった。豊田章男会長とは『報道ステーション』時代に面識があり、ウーブン・シティ立ち上げの際には独占インタビューも行った。その後、『トヨタイムズ放送部』立ち上げの話が持ち上がり、アドバイスを求められたという。
転機はコロナ禍だった。富川氏は「コロナに感染するなど、いろいろなことが重なって。自分自身の、先を考えていかなきゃいけないタイミングがあった」と振り返る。局に残る道もあったが、「当時45歳だったので、『挑戦するなら今だろう』という思いも僕の中にはあって。全然違う環境に身を置いて挑戦するっていうのもありだなっていうことは思った」と語る。
ジャーナリストとして「誰かの役に立ちたい」という思いを軸に働いてきた富川氏は、その姿勢が豊田章男会長と重なったと感じたという。「章男さんは『自分は究極のお坊っちゃんだ』と本人も言ってますけども、『究極のお坊っちゃんだから、満たされてるから、自分のためになんかって別にしなくていいんだ、とにかく人のためにやるんだ』って本気で思ってる人なんです」と説明する。
「トヨタイムズニュース」誕生の裏側
トヨタへの移籍を決めたタイミングは、『トヨタイムズ』が「リアルを伝えたい」という新たなフェーズに入る時期と重なった。富川氏は「章男さんとなら同じ想いで人の役に立てるかもしれない」という思いが重なり、移籍を決断したと明かす。
移籍後、富川氏はまず社内の人々へのインタビューを開始。「スマホを30分、1時間回して、ちょっとまとめておいたりっていうのをずっと繰り返して」1年間かけてトヨタを取材した。その中で「トヨタってものすごいいいこといっぱいやってるんですけど、伝え方がものすごく下手」だと感じ、伝えるべきことが膨らんでいったという。
その後、特番制作のチャンスが巡ってきた。富川氏が取材した素材をもとに自らMCを務め、章男会長と対談した特番は、1時間以上という長尺にもかかわらず250万回に迫る再生数を記録。レギュラー化の話が浮上し、年頭あいさつの場で章男会長に直接確認して言質をとり、人気コンテンツ「トヨタイムズニュース」が誕生した。
「町工場のお父さんみたいな人」富川が語る章男会長の実像
富川氏は、章男会長との丁々発止のやり取りでも知られる。会長は「本当サービスの人なんで、取材しやすいような環境を作ってくれる人」であり、「『気兼ねなく質問してきていいよ』っていう空気作りをされる」と語る。
富川氏は対談で「本人が何を答えたいのかな」「視聴者が何を知りたいのかな」を意識し、質問をあらかじめ考えずに臨むタイプだという。「その人の中に入っちゃうというか」というスタイルと、門戸を広げる章男会長が「たまたま相性が合った」と振り返る。
周囲が抱く「トヨタ自動車会長」というイメージとのギャップについて、富川氏は「章男さんって、壁作る人じゃないんです。君臨する人でもないんですよ。町工場のお父さんみたいな人なんです」と語る。「別に突っ込みたい時は突っ込めばいいし、笑い取りたい時は笑い取るし、間違いを指摘しても全く嫌がらない」といい、「みんなが勝手に怖そうだとか、すごすぎる人だとか勝手に敬遠してしまっているだけで、誰がもし同じような質問しても、普通に笑って答える人」と述べた。
インタビュー1本目では森田京之介氏の転職と軌跡が、3本目では2人が“オウンドメディア”の現在地について語っている。



