フジテレビ系ドラマ『ラストノート』(毎週木曜22:00~)で主人公・一瀬葵を演じる内田有紀が、自身のキャリアや人生観について率直に語った。1990年代から第一線で活躍し、現在50歳を迎えた内田は、今の自分を「ミドルノートからラストノートへ移行している状態」と表現。年齢を重ねたからこそ見えてきた景色を明かした。
40代で感じた「息をひそめて生きる」感覚
『ラストノート』は大人の恋愛を描くラブストーリーで、内田は特に40代から50代の視聴者に届けたいと語る。「人生の折り返しを経験した大人の方の心へも届けたい作品です」と強調する。主人公の葵は離婚を経験し、「現状維持でいい」「変化はいらない」と自分にフタをしてしまっている女性。内田自身も40代に入った頃に似た感覚を抱いたという。
「若い頃は怖いものがなくて、前向きな気持ちが強すぎて空回りすることもあった。でも年齢を重ねると、だんだんブレーキを踏めるようになり、自分の弱点も強みも分かってくる。その頃に、人生って頭をバンと叩かれるようなことが起きたりする。神様は『そんなんじゃだめだよ』と言われるようなことを用意していて」と振り返る。そうした経験を経て人は慎重になるといい、「一歩踏み出すのが怖くなったりすることがある。だから葵の気持ちがすごく分かる」と共感を示した。
「息を吸い込んで、吐き出さない」葵の象徴的な仕草
内田が主人公・葵に強く共感したのは“呼吸”だった。葵は職場でもプライベートでも自分の感情を飲み込み、周囲との調和を優先する女性。内田は「葵って、自分のやりたくないことでも飲み込んで物事を円滑に進めようとする。みんながうまくいくなら自分が我慢すればいいと思っているところがある」と分析する。撮影中、印象的なのは葵が何かを言いかけるたびに息を吸い込むことだ。「葵って息を吸い込むんですけど、吐き出さない。つまり自分の思いを飲み込んでしまう。そこがすごく彼女を象徴している気がして」と語る。
その姿は内田自身の心情とも重なった。「年齢を重ねると、いいことも悪いことも積み重なってきちゃうんで」と苦笑。物語を通して葵には少しずつ変わってほしいと願い、「呼吸って大事だなと思う」と笑いながら語った。
「中間管理職のような」現在地
『ラストノート(残り香)』というタイトルにちなみ、「人生のどの香りの段階にいるか」と聞かれた内田は、「今はミドルノートからラストノートへ移行している状態」と答えた。トップノートは若さゆえの勢いやエネルギーに満ちた時代、ミドルノートは経験を積み視野が広がる時期、ラストノートは人生の本質が残る時間と捉えている。「いろんなことが見えてきて、視野も広がってきた。でも最後の余韻になるにはまだ早い。だから今は変化している時期。中間管理職みたいな(笑)」と表現する。
将来どんな香りになりたいかという問いには、「穏やかな、柔らかい甘い香りになれたらいい。甘すぎず、温かく周りを照らせるような」と理想を語り、「遠赤外線って周りの人も温めるし、芯まで届くじゃないですか。そういう人間でいたいなと思います」と付け加えて笑った。
「一人じゃない」と思えるようになった主演への姿勢
30年前と比べて自身の変化について、内田は「10代の頃はリーダーシップを取る元気な女の子の役が多かった」と振り返る一方、「実際の私は誰かについていきたいタイプだった」と明かす。近年は主演として作品の中心に立つよりも、「強い力で真ん中に立ってくださる主演の方を支えたい」という思いが強かったという。「縁の下の力持ちとして支えていきたい気持ちがすごく強くて、そこを極めていきたいという職人的な思いもありました」と語る。
今回『ラストノート』で主演を務めることには躊躇もあったが、若い頃のプレッシャーは形を変えた。「若い頃は責任感に押しつぶされそうになることもあった。でも今は『一人じゃない』と思える。みんなで作り上げているから大丈夫、と本気で思えるようになりました」と述べる。年齢を重ねたことで視野が広がり、スタッフや共演者の存在をより強く感じられるようになったといい、「これは年を重ねるっていいなと思うことの一つです」と笑顔を見せた。
ファンへの感謝とキャリアへの思い
長年応援してきたファンについて、「昔の出演作を見ていた小学生が高校生や大人になり、『ラストノート』を楽しみにしてくれていることもある」と話し、「この仕事は点ではなく線。一つひとつの仕事が次につながっていくことを実感しています」とキャリアへの思いを口にした。50代を目前にしながらも「変化の途中」にいると語る内田。その言葉からは、年齢を重ねることを恐れず、人生の新しい季節を楽しもうとするしなやかな姿勢が伝わってきた。『ラストノート』で描かれる大人の恋愛は、内田自身の実感と重なりながら、多くの視聴者の心に寄り添っていきそうだ。



