大谷翔平選手の第2子誕生を報じるニュースがSNSで拡散される中、「年子バッシング」と呼ばれる批判が噴出した。これは、第一子の誕生から間もない時期に第二子を授かったことに対する否定的な意見が集中した現象だ。ネットメディア研究家で炎上ウォッチャーの城戸譲氏は、この現象を「神格化されたアスリートが人間らしさを見せたときの反動」と指摘する。
年子バッシングの背景
大谷選手は2024年3月に第一子が誕生したことを公表。わずか1年余りで第二子が生まれたことに対し、一部のネットユーザーから「計画的でない」「選手生命に影響が出るのでは」といった批判が上がった。城戸氏は「大谷選手はこれまで完璧なイメージで神格化されてきた。そのイメージが、人間的な営みである子育てによって揺らぎ、反発を生んだ」と分析する。
同様の現象は過去にも見られた。サッカーW杯に出場したある日本代表選手が、大会直後に結婚を発表した際には「タイミングが悪い」と批判された。また、羽生結弦選手が結婚を公表した際には、一部ファンから「裏切られた」という声が上がった。城戸氏は「いずれも、神格化された存在が現実の人間としての行動を取ったときに、ファンがギャップに耐えられずバッシングに走るパターンだ」と説明する。
メディアのプライバシー暴露と豪邸論争
大谷選手を巡っては、プライバシーを巡るメディア批判も繰り返されてきた。2024年5月、大谷選手がロサンゼルスの高級住宅地に約12億円(当時)の豪邸を購入したと報じられた。これを日本のテレビ局が現地取材し、住所や外観を詳細に伝えたことで、「場所を特定して危険にさらす」と視聴者から批判が殺到した。
城戸氏は当時、東洋経済オンラインのコラムで羽生選手の事例と比較しながら「プライバシー暴露報道への嫌悪感」について論じている。同氏は「国民の関心が高い話題ほどメディアは取り上げ、拡散し、繰り返す。この生態系の中でプライバシー保護には限界がある」と指摘。同時に「発信する側も、神格化されたイメージに頼ると、人間味が透けた瞬間に崩れやすいことを認識すべきだ」と警鐘を鳴らす。
神格化の脆さとファンとの関係性
城戸氏は「完璧さや神格化に依存したイメージほど、ひとたび人間らしさが見えたときに崩れやすい」と強調する。一方で、ファンが成長に介入して「育てる」関係性を築けたアイドルたちは、炎上への耐性が高いという。例えば、アイドルグループのメンバーが結婚を発表した際、ファンから祝福の声が多く上がったケースがある。これは、ファンがアイドルを「神」ではなく「成長する人間」として見る関係性が構築されていたからだ。
大谷選手や羽生選手のような超大物アスリートの場合、神格化を完全に避けるのは難しい。しかし、受け手側も「どれだけ超人的でも、所詮は人間」と割り切る視点が必要だと城戸氏は説く。憧れの存在が人間味を帯びる前に、そう構えておくことが過熱を防ぐ唯一の手立てかもしれない。
いかに超人的なアスリートであっても、一人の人間である。その当たり前の事実を忘れずに、冷静な視線を保つことが、健全なファン文化につながるのだろう。



