大谷翔平の「捕手への詰め寄り」に恐怖の声も…心理学分析で見えた感情のトリック
大谷翔平の詰め寄りに恐怖の声も…心理学分析で見えた感情のトリック

ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手が、チームメイトのラッシング選手に対して“ガチ切れ”したとされる場面が話題を呼んでいる。写真には、大谷選手が捕手に詰め寄るような表情を見せており、SNSでは「怖すぎる」「チビりそう」といった声が相次いだ。しかし、心理学の専門家である宮本文幸氏(桜美林大学教授)は、この出来事がむしろ大谷選手の評価を高めたと分析する。

怒りの心理学:状態怒りと特性怒り

宮本教授によれば、心理学では怒りを「状態怒り」と「特性怒り」に分類する。状態怒りとは、特定の状況に応じて一時的に生じる感情的・生理的な反応で、軽い苛立ちから激しい怒りまで強度が変動する。一方、特性怒りは、個人のパーソナリティの傾向として、他の人より頻繁に、強く、長く怒ることを指す。

大谷選手について、アメリカのファンが「球界で最も優しい男」と評価しているのは、まさに彼の特性怒りの低さを指している。今回の表情は明らかに状態怒り、つまりその場の状況だけに生じた一時的な反応である。「いつも怒っている人」が怒っているのではなく、「ほとんど怒らない人」がその瞬間だけ強い反応を見せたため、見る側は「彼の本性が露呈した」ではなく「よほどのことがあったのだろう」と解釈しやすくなったと宮本教授は指摘する。

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敵意的攻撃性と道具的攻撃性

さらに、怒りの研究には「敵意的攻撃性」と「道具的攻撃性」という古典的な分類がある。敵意的攻撃性は、相手に苦痛を与えること自体が目的の反応的で衝動的な攻撃を指す。一方、道具的攻撃性は、何らかの目標を達成するための手段として行われる主体的で計算された攻撃であり、相手を傷つけること自体が目的ではない。

この分類は元来、身体的な攻撃行動を対象に整理されたものだが、宮本教授は大谷選手の振る舞いを道具的攻撃性の観点から分析する。つまり、大谷選手の怒りは相手を傷つけるためのものではなく、チームの勝利や自身のパフォーマンス向上という明確な目的があったと推測される。この「目的のはっきりした振る舞い」が、ファンに「彼は真剣だ」という好印象を与え、結果的に彼の株を上げたという。

宮本教授は、「大谷選手の感情のトリックは、普段の穏やかさと、ごく稀に見せる強い感情のギャップにある」と結論づけている。

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