劇団四季「リトルマーメイド」舞浜アンフィシアターで開幕、客席を海に演出
劇団四季「リトルマーメイド」舞浜で開幕、客席を海に演出

劇団四季のディズニーミュージカル「リトルマーメイド」が、8月26日から東京ディズニーリゾート内の舞浜アンフィシアターで上演されている。2013年の日本初演以来、400万人以上を動員してきた人気作で、半円形のステージとすり鉢状の客席に合わせて演出がアップデートされた。

客席全体を海に、魚が通り抜ける演出

技術監督の古城博之さんによると、これまで箱形の劇場で上演されてきたが、舞浜アンフィシアターの特殊な形状を生かし、客席自体を「海にする」ことを最初に考えた。開演前から客席全体に青い照明を当て、波音を流すことで、着席した観客に「海に来た」と思ってもらえるよう工夫している。

天井には70メートルにわたり半円形のリールを設置し、つるされた魚の装置が客席を通り抜ける。このアイデアをディズニーのクリエイターに提案したところ、「とてもいいアイデアだ!」と喜ばれ、1場面のみの予定が4場面に増えた。半円形のステージを生かした長めの花道もここだけのもので、アリエルやカモメのスカットルのフライングが以前より長く感じられるという。

出演者が語る役の魅力と苦労

アリエル役の谷原志音さんは「ディズニープリンセスを演じないで」と演出家から言われたと明かし、「家族とうまくいかなくて葛藤することや、現状に『何か違う』って思うことは誰でもありますよね。老若男女を問わず共感できるのがアリエル」と語る。エリック役の武藤洸次さんは「エリックは王子だけど王子でいたくない。自分の置かれた場所に違和感があるのはアリエルと共通しています」と話す。

カニのセバスチャン役の川口雄二さんは「アリエルには母親がいないが、母親的な存在なのがセバスチャン。『アンダー・ザ・シー』のナンバーは楽しいけど、これはアリエルに海を出て行ってほしくないから海の魅力を歌っている」と役の心情を説明。海の魔女アースラ役の恒川愛さんは「アースラは生まれた時は純粋無垢だったと思う。周りにさげすまれていくうちに悪くなっていってしまった。生まれながらの悪ではない点をしっかり念頭に置いて演じたい」と語る。

苦労している点については、川口さんが「カニらしく、常に足を開いてしゃがんだ状態。動きに制限がある中で、どれだけできるか挑戦しています」、武藤さんが「エリックは白タイツにヒール靴の『ザ・王子』スタイル。ヒールが足に来ます」、谷原さんが「フライングの前後にハーネスをつけた状態で動くのが大変。しゃがむとおなかが押されるので開演3時間前までには食事を済ませています」、恒川さんが「アースラ役は一歩も舞台では歩かない。歩くのはカーテンコールだけ。6人の俳優と一緒に『7人チーム』で全員と息を合わせるのが大変です」とそれぞれ明かした。

見どころと秘密、こだわりの小道具

好きな場面について、武藤さんは「アリエルが海の中を泳ぐ冒頭。照明がより洗練されて雰囲気が増しています」と話し、谷原さんは「エリックが海に落ちるときに陸上から海の下に切り替わる転換がすごくスムーズ」と評する。恒川さんは「『キス・ザ・ガール』でボートに乗った2人がキスをするかしないかという場面にキュンキュンします。ま、私(アースラ)が邪魔するんですけど」と笑いを交えて語った。

今作の秘密としては、武藤さんが「エリックがアリエルの名前を当てる時に挙げる『ジャスミン、エスメラルダ、ベル?』は全部、四季のディズニーミュージカルのヒロインです」と紹介。恒川さんは「『隠れミッキー』がどこかにいるので探してみて。少なくとも二つあります」と観客に呼びかける。

また、アリエルのかつらは水中での浮力を表現するため特殊なのりで円すい形に固められており、ドレスのスパンコールは1着につき大小合わせて約5500個。取れやすいため終演後の手入れが欠かせないという。

劇団四季ミュージカル「リトルマーメイド」は、千葉県浦安市の舞浜アンフィシアターでロングラン公演中。円形ステージのためどの位置に座っても見やすく、アリエルのフライングが以前より客席に近いところまで来るという。