渋谷教育学園幕張中学校・高等学校(千葉市)の英語ディベート部が、8月16日と21日に開催された「SOLA Cup 2026中高生パーラメンタリーディベート国際大会」で、国内外の26チームを破り優勝した。生徒たちは上位を目指して自主的に練習を重ね、同校の教育目標である「自調自考」を実践している。
「SOLA Cup」で頂点に立つ
この大会は、兄弟校の渋谷教育学園渋谷中学高等学校が主催する国際教育イベント「SOLA 2026」の一環として、日本高校生パーラメンタリーディベート連盟と共同で開催された。今年で6回目を迎え、ビデオ会議システムを活用して国内外から中高生が参加できるのが特徴だ。今回は日本の22校、ベトナムの3校、フィンランドの1校、計26校が対戦した。
予選を1位で通過した渋幕チームは、21日の決勝で聖光学院中学校高等学校(横浜市)と対戦し、見事優勝を勝ち取った。英語ディベート部の部長で高校2年の樫原光さんは「予選は1位で通過したのでぜひ優勝したいと思っていましたが、決勝の相手は強豪校である聖光学院。果たして勝てるのかと一抹の不安はありましたが、絶対に勝ちたいという思いをかなえることができて、本当にうれしかったですね」と振り返る。
即興型ディベートで戦略が奏功
パーラメンタリーディベートは1チーム3人で行われ、テーマが当日発表される即興型だ。生徒たちは30分の準備時間で論旨を組み立てる。決勝のテーマは「LGBTQ」で、高校1年の横山舜さんは「普段からLGBTQの問題について調べていたことが役に立ちました。論理力だけでなく、マイノリティーの立場を支持し、ジャッジ(審判)の心に訴える戦略が成功したと思います」と語る。同じく高校1年の船山青吾さんは「僕は、ロジックの面もうまくいったと思います。しっかりした理由付けをして自分たちの考えを主張することができました」と話した。
同校の英語ディベート部は10年前に発足し、帰国生が多く、コミュニケーションのための英語教育が充実している土台がある。今年3月には「第15回日本高校生パーラメンタリーディベート連盟杯全国大会」で優勝、7月には「高校生英語ディベート世界大会」の日本チームに樫原さんと横山さんが選ばれ、日本として大会史上最高位の16位に入った。
「自調自考」で自主的に力を伸ばす
顧問の英語科教諭・石川友哉さんは「ディベートは論理性や非認知能力の向上が期待されることから、7、8年前から社会での注目度が高まってきたように思います。中高生の競技人口が増えて英語ディベート大会が盛んになり、それとともに国際関係、環境問題、生成AI(人工知能)などテーマが高度なものとなって、本校の生徒の関心と合致してきました」と話す。
同部は普段、週2回活動し、自分たちで他校の練習相手を見つけ、オンラインで随時対戦を重ねている。石川教諭は「大会で上位入賞を果たしてきた高校生がいることから、新しく入部してきた生徒には先輩が指導するという形を取ります。教員が手取り足取り教えるわけではありません。また、東京大学や早稲田大学などのネットワークに参加し、大学生のディベートも参考にしています」と説明する。
樫原さんは「YouTubeの動画や海外のニュースサイトなどで日々情報を収集しています。中学生の頃は、1日3時間くらい動画を見たりニュースを読んだりしていることもありました」と話す。横山さんは「中1の終わりに英語ディベート部に参加し、日常会話程度の英語力では通用しないことを痛感しました。動画などを見ながら自主練習を重ねて語彙力を伸ばし、中3の終わりごろから上達を実感できるようになりました」と振り返る。
将来への展望
樫原さんは現在、渋幕生として最後の参加となる来年の全国大会での優勝を目指すと同時に、海外大学への進学や、ディベートで鍛えた論理的思考力・発信力を生かして政治を学ぶことを考えている。「『自調自考』は勉強や部活動、普段の生活などあらゆる場面で生かされていて、自分のやりたいことを自分の考えで進める方法を、この学校で身に付けています」と語る。
横山さんは「自分の関心を追求するための、多様な機会があります」と話し、「書道部」や「アラブ同好会」にも参加している。船山さんは理系で将来プログラミングを学ぶことを希望しており、「ディベートで身に付けた論理力が、きっと役に立つはず」と話す。石川教諭は「自ら率先して活動し、国内外で成果を収める先輩の姿を見て、後輩たちがさらに高い目標に向かっていくという、いい循環が生まれています。ディベートのみならず、さまざまな場面において自分の力で目標を達成していってほしいと考えています」と期待を語った。