ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手が、試合中にチームメイトの捕手ラッシング選手に詰め寄る場面が話題を呼んだ。一部ファンからは「怖すぎる」「チビりそう」といった声が上がる一方、その後の投球で見せた見事な立ち直りに、大谷選手の株はむしろ上がったと専門家は指摘する。
怒りの表情は「向き合う」強さ
「見た目」戦略研究家で桜美林大学教授の宮本文幸氏は、大谷選手の怒りの表情について「冷笑や威嚇ではなく、『向き合う』種類の強さ」と分析する。怒りという感情そのものが、問題から逃げず立ち向かう準備状態だからだという。
怒りを結果に転換
報道によれば、大谷選手はこの一件のあった3回以降、自らピッチコムを操作して配球を組み立て直し、相手打線を完全に抑え込んだ。試合後のインタビューで大谷選手は「自分で組み立てだったりとか、球種の選択だったりとか、まず、やってみようっていうのが、いい投球の1つの要因だったのかなとは思います」と語っている。
研究が示す怒りのパフォーマンス効果
怒りがパフォーマンスに与える影響について、研究結果は分かれる。ある実験では、怒りの感情誘導により一部の条件下でパフォーマンスが向上した(※7)。ただし、これはランニング競技を対象としており、投球のような技術的パフォーマンスにそのまま当てはまる保証はない。また、不安を対象にした研究では、感情が「自分の制御下にある」と感じられる場合にパフォーマンスが促進され、「制御不能」と感じられる場合に妨げられるという知見がある(※8)。不安と怒りは異なるが、強い感情が「制御されているかどうか」が結果を左右するという発想は参考になる。
大谷選手の強さの秘訣
これらの知見を踏まえると、大谷選手は「怒り」という強いエネルギーを、誰かへの攻撃ではなく、自身の投球の質に転換する力に変えたと見られる。怒りそのものを否定せず、成果に変換できることこそが、際立った強さの証しなのかもしれない。



