小型のブタ「マイクロブタ」が注目を集めている。成獣でも中型~大型犬ほどの大きさで、触れ合えるカフェが全国各地に増え、ペットとして飼育する人も増加している。
マイクロブタカフェ、全国に拡大
東京都豊島区の商業施設「サンシャインシティ」内にある「mipig cafe」では、来店客が約20匹のマイクロブタと触れ合うことができる。いずれも体重3~5キロで、「フガフガ」と鼻を鳴らしながら歩き回り、客の足の上に寝そべるなど、愛らしい姿を見せている。米国在住の大学院生(30)は「人懐っこくて癒やされます」と話す。
同カフェは2019年3月に東京に1号店をオープン。コロナ禍のペットブームも追い風となり、現在は全国に22店舗を展開する。
マイクロブタの起源と特徴
運営会社によると、マイクロブタは2000年代にイギリスで小型のミニブタを交配させて誕生した。一般的なブタは体重100~300キロに達するが、マイクロブタは40キロ以下。欧米では「ティーカップピッグ」とも呼ばれ、アニマルセラピーでも活躍している。運営会社社長の北川史歩さんは「犬に匹敵する嗅覚や記憶力を持ち、甘え上手。触れ合うぬくもりがリラックス効果をもたらす」と語る。
その愛らしい日常はSNSで発信され、人気拡大に貢献している。東京都内と横浜市に5店舗を展開する「pignic cafe」では、「広報部長」のエマ(メス、10か月)のインスタグラムが話題。フォロワーは国内外で4万人以上にのぼり、海外から散歩体験の予約が入ることもあるという。
福祉施設訪問やペットとしての広がり
同店では3か月に1度、ボランティアでマイクロブタと一緒に老人福祉施設を訪問。運営会社「ピグニック」社長の望月哲也さんは「鳴き声や体の動きで感情を表す。施設の方からは『お年寄りの笑顔がたくさん見られた』と言ってもらえる」と話す。
ペットとして飼育する人も増加。マイクロブタは頭が良くトイレもすぐ覚え、しつけができる。体毛が舞いにくいためアレルギーを持つ人にも飼いやすく、体臭もほとんどない。大型犬サイズのケージで室内飼育が可能で、餌は専用ペレットや野菜、イモ類を与える。運営会社によると、国内で2000匹以上が飼育されているという。
飼育の実例と注意点
川崎市で洋菓子店を営む藤本智美さん、美弥さん夫妻は2021年に「ブブコ」、2022年に「ナナコ」を迎えた。美弥さんは「自分の意思も主張し、私たちの気持ちを理解して寄り添う。一緒にいられるのが幸せ」と語る。
オフィスで飼育する例も。レンタルスタジオを展開するBUZZ GROUPは2024年2月からメスの「バブ」を社内で育てており、「看板ブタ」として来客との会話が弾み、仕事にも役立っているという。
一方、飼育には注意が必要だ。地域の家畜保健衛生所への届け出、年1回の定期報告やワクチン接種が義務付けられている。ブタを診察できる動物病院は多くないため、事前確認が重要。マイクロブタは汗腺がほとんどなく体温調節が難しいため、18~24度の適温を保つ冷暖房が必要。寿命は10~15年程度。田園調布動物病院院長の田向健一さんは「食欲が強く食事管理が必要な上級者向け。成長すればゴールデンレトリバー並みになる。大きくても高齢になっても世話をする覚悟が必要」と注意を促す。
ブタの歴史と未来
ブタは約1万年前に野生イノシシの家畜化で誕生。近年は医療分野でも活用され、臓器移植のドナーとしても期待される。麻布大学獣医学部講師の新井佐知子さんは「ブタは食卓を守り医療の発展にも貢献。カフェでの触れ合いが、人に役立つ身近な動物について考えるきっかけになれば」と話す。



