俳優の蒼井優が主演を務めるTBS系金曜ドラマ『Tシャツが乾くまで』(毎週金曜 後10:00)で、毎回タイトルバックに流れる印象的なピアノのメロディーを手がけるのは、オリジナル・アルバムの制作やライブ活動を続けながら多彩なコラボレーションを展開するharuka nakamuraさんだ。劇場アニメ『ルックバック』(2024年)をはじめ、映画、ドラマ、CMなど幅広いジャンルの音楽を担当してきたが、TBSドラマの劇伴音楽は今回が初めてとなる。
土井監督からの指名で参加
土井裕泰監督からの指名で参加したことについて、haruka nakamuraさんは「土井監督の作品は少年時代から影響を受けてきました」と振り返り、特に野島伸司さん脚本の作品や火曜ドラマ『カルテット』(2017年)が印象に残っていると語る。「尊敬する土井監督が指名してくださったとのことで、ご一緒にものづくりができることを光栄に思い、僭越ながら引き受けさせていただきました」と当時の心境を明かした。
生方美久さんの脚本については「とても素晴らしく、緩急があり、引きつけられました」と評価し、「脚本から、登場人物たちの心情に寄り添った音楽をイメージすることができました」と述べる。コインランドリーを軸に人間模様が交錯する世界観や、初回からの大きな展開に触れ、「見ている方々からはさまざまな考察がなされるだろうと感じました」と話し、主演の蒼井優の演技に毎話圧倒されているとも語った。
音楽制作で意識したこと
音楽制作の過程では、土井監督から「話の展開はさまざまあれど、大きなテーマとして“隣にいる夫婦であれ、本当のところは分からなかったり、理解し合えていないところもありながらも生きている”というものがある」と説明を受けたという。その上で「登場人物たちの人間模様とともに寄り添うような音を意識しました」と明かす。
土井監督からは「アンビエントな雰囲気にまとまりすぎず、フレーズが印象に残るもの、そのフレーズとドラマのイメージが直結するようなメインテーマ」をリクエストされたといい、「登場人物たちの心情を表すような一歩踏み込んだメロディーを紡ぐ意識で、曲たちを作りました」と説明。制作は、マネージャーで音楽制作にも携わるone cushionの山口響子さんと二人三脚で進めたという。
普段の劇伴音楽作りで意識していることについては、「物語へ捧げる音楽としては作品に寄り添って混ざり合うことが大切だと感じています」と述べ、「音楽の自我を押し付けるのではなく、並走するようなイメージで作るように、なるべく心がけたいと思っています」と語った。
自然体で生まれた音楽
今回の制作過程を振り返り、「シーンについてキーワードをいただいて、それについて僕が自由に思うままに作ったものを、監督をはじめ、スタッフの皆さんに受け入れていただくことができました」と述懐。「自然体なスタイルで取り組めたので、自分のサウンドのままで表現できたような気がします」と語り、映像を拝見すると「スタッフの皆さんのおかげで音楽がそっと寄り添っているような形で完成していました」と完成度に手応えを見せた。
視聴者へのメッセージとして「作品の力が素晴らしいおかげで、多くの方々に僕の音楽も届いているようです」と感謝を伝え、「発表した後の作品は、自分の中からは手放すようにしていて、受け取っていただいた方のものとして考えています」と持論を展開。「最後まで皆さんの日常を少しでも彩ってくれることを願っています」と願いを込めた。
コインランドリーで会話するシーンや思い出を語るシーン、何気ない日常のシーン――物語のどこを切り取っても、温かみがありながらもどこか切なさを感じさせるharuka nakamuraさんの音楽が寄り添う。一音一音にじっくりと耳を傾ければ、登場人物たちの心情がさらに深く心に染み入ってくるはずだ。
プロフィールと情報
haruka nakamuraさんは音楽家。1stアルバム『grace』(08年)を発表し、近年は劇場アニメ『ルックバック』(24年)の劇伴音楽と主題歌、映画『この夏の星を見る』(25年)の音楽・主題歌などを担当。蔦屋書店の音楽『青い森』シリーズを発表し、代官山蔦屋書店などで展覧会を開催。楽譜本『ピアノ曲集』も発表している。音楽を手掛けた主な映像作品には『ひきこもり先生』(21年)、『息をひそめて』(21年)、『TRIGUN STANPEDE』主題歌(23年)、『あの子の子ども』(24年)、『アポロの歌』(25年)、『青い鳥』(26年)などがある。
『Tシャツが乾くまで』の劇伴音楽は8月15日よりメインテーマ先行配信が開始される。



