クラフト腕時計の魅力 手仕事が生む個性と経年変化
クラフト腕時計の魅力 手仕事が生む個性と経年変化

「クラフト腕時計」は、部品を一つ一つ手作りするため、文字盤の色合いや数字の表現などが微妙に異なり、いずれも個性的な表情を見せる。ケースやベルトにも量産品とは違った味わいがあり、経年変化によって深みが増すという。

手仕事が生む唯一無二の表情

クラフト腕時計では、針を動かす機構「ムーブメント」にクオーツ式や機械式の大手メーカーの製品を使うほかは、大半の部品を作家が手作りする。クラフト腕時計の専門店「アトリエ・コワン」(東京都武蔵野市)代表の大護慎太郎さん(47)は「個々の焼き目や金づちの鎚目(つちめ)が違い、同じものは一つとしてない。文字盤やそれを覆うケースなどに作家の世界観や個性が表れるのが魅力」と語る。

同店には大護さんが手がけた多彩な作品が並ぶ。文字盤は素材の金属を加熱して自然な色味を表現し、数字やドットを入れる。ケースは金属の板材や棒材を切り出し、溶接して作る。腕に巻くベルトもイタリアンレザーを切って貼り合わせ、手縫いで仕上げる。バックルなども手作りだ。価格は用いた素材などで異なり、3万5000~5万5000円が中心という。

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緻密な技術と創作の源泉

大護さんは金属製の文字盤をバーナーで焼いて表面に酸化皮膜を生じさせ、独特の色彩を表現する技法を得意とし、これまで飛行機から見下ろした雲や、山の岩肌などをイメージした作品を製作。散歩や出張の際に写真を撮りため、創作に役立てるという。店内には手製の置き時計や掛け時計も陳列している。

製作には、銀や黄銅でできた文字盤やケース、革製のベルト、ガラスのレンズなど部品ごとに異なる素材を扱う技術が求められる。針をピンセットで組み立てるなど、0.01ミリ単位の緻密(ちみつ)さを要する作業だ。「針が動き出す瞬間は命が宿るようで、何回作ってもうれしい」と大護さん。

経年変化を楽しむ一生もの

革は使い込むほど味わい深く変色し、金属の鎚目はこすれることで濃淡が生まれる。大護さんは「修理や部品の交換を重ねれば一生使える。経年変化を楽しみながら腕時計を育てていってほしい」と話している。

アトリエ・コワンでは年に1~2回、腕時計のカスタムオーダー会を開いている。個性豊かな文字盤から1点を選択し、それに合わせてケースや針、ベルトをカスタマイズして、自分だけの腕時計を作れる。今月7~9日の3日間、近くの2号店「WORKS(ワークス)」で開催する。申し込みはインスタグラム(@ateliercoin)のリンクから。

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