建物や公共空間を彩るミューラル(壁画)アートは欧米で定着しているが、近年は日本でも目にする機会が増えてきた。大阪・淀川エリアでの壁画プロジェクト「淀壁(よどかべ)」や、昨年開催の大阪・関西万博で公式パブリックアートとして会場に展示された「希望の系譜」で注目を集めたのが、アーティストのBAKIBAKI(バキバキ)さん(47)だ。浮世絵や漫画のエッセンスを融合させた唯一無二の表現を武器に、ミューラルアートで日本文化を世界へ発信している。
即興で作品、胸躍らす
ミューラルアートは所有者や自治体の許可を得て、建物の外壁や公共空間に描かれる。ストリートアートの一つだが、地域の歴史や文化、社会的なメッセージを表現し、落書き(グラフィティ)とは異なる。SNSでの拡散による地域活性化や街の景観向上に対する期待から、近年は国内でも増えつつある。
この分野で精力的に創作を重ねているBAKIBAKIさんは、平成13年9月、京都市立芸術大美術学部(京都市)在学中にアーティストの第一歩を踏み出した。同大学の同級生だったMON(モン)さんと、観客の前で制作過程を披露するライブペインティング専門のデュオ「DOPPEL(ドッペル)」を結成したのが出発点だった。
「淀壁」と万博展示
京都のナイトクラブや音楽フェスを舞台に、2人で一つの作品を即興で描いた。漫画やアニメの効果線と日本の伝統柄「麻の葉文様」を取り入れ、シンボル的な記号として作品を印象付ける「BAKI柄」はこのとき誕生した。BAKI柄とMONさんが表現する民族文様は、制作過程の2人のコミュニケーションツールとして機能した。
将棋を指すように一手ずつ筆を重ねると「自分一人では出せない、偶発的な形や組み合わせの面白さに胸が躍った。あのときに感じた初期衝動が今につながっている」と振り返る。
大阪・関西万博の会場に展示され、大阪市淀川区に移転された作品「希望の系譜」は、現在も淀川区で見ることができる。BAKIBAKIさんは今後も「淀川区ブルックリン化計画」を進め、十三周辺を壁画アートで変えていく考えだ。



