お笑い芸人で漫画家の矢部太郎さん(49)は、2001年のテレビ番組「電波少年」で、スワヒリ語やモンゴル語、韓国語、コイサンマン語を学び、その言葉で現地の人々を笑わせる企画に挑戦した。当時は教材や通訳のない言語にも向き合ったという。AI翻訳や語学アプリが身近になった今、外国語を学ぶ意味はどこにあるのか。矢部さんに聞いた。
「電波少年」がきっかけで4言語を学ぶ
外国語を勉強するきっかけは、2001年に出演した「電波少年」という番組だった。別番組のオーディションを受けたら、急に連れていかれたという。「外国語を勉強して外国人の前でネタをやって、笑わせるという企画で、最初に学んだのはスワヒリ語でした」と振り返る。
4つの言語の勉強方法は、言語によって異なっていた。スワヒリ語は部屋にこもり、24時間ずっと参考書やCD、辞書を使って学んだ。次のモンゴル語は、日本語の分からないモンゴルの家族とマンションで一緒に生活しながら、実際の会話の中で覚えていった。
教科書にはない「自然な言葉」を求めて
ネタで笑いを取ることが目標だったため、教科書にある言葉ではなく、相手がどう反応するのかを見てフレーズを増やしていったという。教科書の「違います」「いいえ」では堅すぎるとして、日本語でいう「なんでやねん」や「なんでだよ」のような、実際の会話で使う自然な言葉を知りたかったと語る。
「自分がボケたり、失敗したりして、相手がどういう言葉で反応するかを見ていました。状況と一緒に覚えられたほうが、記憶にも残ると思いました」と説明する。韓国語は、韓国に住み、テレビだけがある部屋でドラマやバラエティー番組を見ながら、赤ちゃんのようにゼロから学んだという。
コイサンマン語の難しさ
コイサンマン語については、教科書も存在しない言語だったことから、その困難さがうかがえる。矢部さんは、この言語も含めて4言語を学び、それぞれの言語で現地の人々を笑わせるという挑戦を成し遂げた。
AI翻訳や語学アプリが身近になった現在、矢部さんの経験は、言語学習の本質を考える上で示唆に富むものとなっている。