アジア大会eスポーツ日本代表報告会、金2銀2銅1の結果を総括
アジア大会eスポーツ日本代表報告会 金2銀2銅1を総括

日本eスポーツ協会(JESU)は、第20回アジア競技大会eスポーツ日本代表報告会を開催しました。アジア競技大会のeスポーツ競技は第18回大会(2018年/ジャカルタ・パレンバン)でデモンストレーション競技として初採用され、第19回大会(2022年/中国・杭州)で正式なメダル競技として採用されています。パレンバン大会では『ウイニングイレブン2018』部門で日本チームが金メダルを獲得していますが、杭州大会ではメダルなしに終わっています。

今回の愛知・名古屋大会では『ぷよぷよeスポーツ』と『ポケモンユナイト』で金メダルを獲得、対戦格闘団体戦と『Identity V 第五人格』で銀メダル、『eFootball』で銅メダルを獲得しています。

6部門の成績と入賞者

報告会はesports TOKYOBAY studioにて行われ、主催代表として愛知・名古屋アジア大会eスポーツ日本代表監督の福田真澄氏による挨拶に加え、6部門の日本代表選手やコーチのインタビューが行われました。

  • ぷよぷよeスポーツ:優勝 栗原祐樹選手
  • グランツーリスモ:6位入賞 國分諒汰選手
  • eFootball:3位入賞 貴田英貢也選手、茶谷優我選手
  • 対戦格闘団体戦:準優勝 樋口孝治郎選手、中山大地選手、澤田彰仁選手
  • ポケモンユナイト:優勝 小瀬古雄大選手、佐藤博希選手、白川真士佳選手、髙田祥生選手、鳥羽航人選手、東蓮汰選手
  • PUBG Mobile:9位 足立登馬選手、石川知輝選手、大橋乃輔選手、正田哲仙選手、田頭永伍選手
  • Identity V 第五人格:準優勝 粟田勇斗選手、上仲真生選手、上村匡優選手、大山流陽選手、神谷凌選手、小沼真澄選手、前田健太朗選手

最後にフォトセッションと個別の囲み取材も行われました。囲み取材では『ぷよぷよeスポーツ』の栗原悠輝選手と対戦格闘団体戦の樋口孝治郎選手(スト6)・中山大地選手(鉄拳8)・澤田彰仁選手(KOFXV)の4名に話を聞くことができました。

金メダリスト・栗原祐樹選手の囲み取材

アジア大会で金メダルを獲って少し経ちましたが、普段の生活に変化はありましたか?という質問に対し、栗原選手は「ほとんどないですね」と答えました。壇上のインタビューで友達からおめでとうと言ってもらえたことについては「嬉しいなと」と述べ、メダルについては「何人かには見せました。ひとり面白い子がいて、メダルに描かれている太陽が、山﨑パンのマークに似ているって言いだして、ちょっと面白かったです」と話しました。

お母さんに宝石をおねだりした件については「まだです」「わからないです」と回答。次の目標について「『ぷよぷよ』の目標は、今よりももうちょっと強くなれると思うので、もっと上を目指して頑張りたい。それ以外だと、普段通りの生活がしたいと思います」と語りました。大会後にXで対戦相手を募集したことについては「なんかいっぱい強いって言われました」と振り返りました。

次に目標にしている大会については「(アジア大会のような)メダルを貰えるとかの大きな大会はしばらくないですね。軽めの大会ならあります。そういった大会だと今月とかにもありますね」と話しました。決勝戦の韓国のカン選手との対戦については「正直有利だなと思いました。(相手が全消し込みのセカンドに対して)さすがにセカンド圏外まで連鎖が行けるかなと思っていました」と振り返りました。

大会後はテレビ出演で多忙だったそうですが「大丈夫です、ありがとうございます」と答えました。友達との関係の変化については「おめでとうってめっちゃ言われますけど、そこまで変わってないです」と話しました。大会前の心境については「正直、自信はありました」と述べ、プレイ中に心がけていることは「とくかく強い形を組むってことですね」と語りました。

今後のeスポーツについては「広まってほしいですね。世界にもっと強い選手が出てきたら、強い人と対戦するのは楽しいですし。まあ、eスポーツをやる人が増えたらいいなって思います」と期待を寄せました。『ぷよぷよeスポーツ』の面白さやコツについては「僕が『ぷよぷよ』をはじめて5年くらいなんですけど、それでアジア大会で優勝できたので、誰でも練習すれば強くなるゲームではあると思います。是非、いっぱい練習して強くなってもらいたいなって思います」と話しました。

対戦格闘団体戦・銀メダリストの囲み取材

樋口孝治郎選手は、今大会の違いについて「ルール的にも他のふたりと組んでいて、普段あまり交流のなかった方たちなので、迷惑をかけたくないという気持ちがありました。それぞれが違うタイトルでの代表で独特の緊張感がありました。普段の大会も緊張しないわけではないですが、そえとは別な感じですね。いつも観ていただいている人とは違う人も観ていただいていると思いますし」と語りました。

銀メダルについては「嬉しさはやっぱり金メダルを獲りたかったなという気持ちが強いですね。でも、前回の杭州大会ではメダルを獲ることができなかったので、とりあえずメダルに手が届いたのは一歩前進かなと思っています。そこは嬉しいですね」と述べました。選手の出場順の決め方については「相手の国の選手の強さとか相性とかを事前に調べていて、それを踏まえた上で、みんなで決めていました。『スト6』の選手はどの国の選手も強くて、『鉄拳8』や『KOFXV』に頼ってしまうことは多かったですね」と明かしました。

eスポーツが総合大会に組み込まれたことについては「これまでアジア大会を観ていた方々からしたら色々思うところはあると思いますが、自分自身が対戦し、他の選手の試合を観ていても、熱い試合が多くて、ヒリヒリして、ギリギリまでどうなるかわからないというところは既存のスポーツと良い勝負ができているかなと思います。eスポーツやゲームでも、対戦にはドラマがあるというか、勝負の世界の側面もあるよというのが、ちょっとでも見せられていたら良かったなと思います」と語りました。

プロゲーマーの世間的な見られ方については「プロゲーマーは一般的なアスリートの方たちよりは世間的な見られ方もまだまだ良くないと思っています。10年前、さらにもっと前のときはさらに当たりがキツかったところ、先駆者の方たちが、イメージを少しずつ良くしてくれました。まだまだですが、理解してくれる人も多くなってきているので、そういう人たちの指示も集めつつ、もっとより良くしていきたいですね」と話しました。

韓国戦のプレッシャーについては「アジア大会は他にはない独特な雰囲気というか、環境やルールなども違いましたし、緊張感はありました。4年に1度しかないという頻度の大会に出ることもはじめてでしたし、その大会で『スト6』の代表として出場していることは、重みは感じていました」と振り返りました。次回への意欲については「今回、銀メダルでしたし、中山さんや澤田さんともこの期間ですごく仲良くなったので、このメンバーでまた金メダルを獲りたいという気持ちはあります」と話しました。

異なるタイトルでのチーム編成については「私自身も『スト6』以外の『鉄拳8』と『KOFXV』に関して、細かいところまでは全然到達できていないんですけど、3人とも長い間大会に出ており、大会でのプレッシャーやメンタル面に関しては通じるものがありました。ゲームそのものの内容についてのアドバイスではなく、普段の取り組みの考え方とか、プロ活動の考え方とか、そういったところにみんなで話をすることで、チームが固まっていった感じです」と語りました。

中山大地選手は、総合スポーツ大会に出場した感想について「僕らはeスポーツという言葉が浸透する前の時代からプロ選手として活動をしてきている中で、eスポーツという名前がついたことで世間の認知度が上がったというのは確かなんですよ。そのeスポーツがアジア大会に採用され、出場できて嬉しいというより、今までやってきた延長線上にアジア大会があって、そこに呼んでもらえたのが嬉しいという感じです。僕たちがやっている競技をいろんな人に見て貰えるっていうのが凄く嬉しかったですね」と語りました。

チーム戦については「いつもやっているソロでの大会ではなく、チームでの対戦なので、勝つ嬉しさも負ける悔しさもいつも以上ですね。周りの人からは「銀メダルおめでとう」って言ってくれるし、良く見てもらえるんですけど、僕らからするとやはり金か銀かって言ったら絶対金の方が良いですし。自分を含めチームのみんなが頑張った結果としての銀メダルなので、それは受け止めていますが、やっぱり悔しいです」と述べました。

チームメイトとの思い出については「4〜5カ月くらいしか一緒にいなかったんですけど、チームのふたりが大好きで、一緒に戦えたことの思い出は金でしたね。結果は銀でしたが、最高の思い出になりました」と話しました。プロゲーマーがアスリートとして観られることについては「違和感を覚えるほどではないですけど、意識するようになりました。ただ、ゲームがうまいだけじゃもちろんダメですし、人としての大事な部分は周りから見られるようになりますし、模範になる動きをしないといけないという自覚はあります」と語りました。

国を背負うプレッシャーについては「プレッシャーは凄く感じました。でも、それ以上に参加できることが光栄でした。自分が普段やっていることで国を背負って戦えるというのは凄く素晴らしいことですよね」と述べ、「好きでやっていた頃に比べると純粋にゲームを楽しめているかというと、職業としてゲームをプレイしている部分もありますね。この仕事をしていなければ出会えなかったこととか、体験とか、たくさんあるので、そういうところは凄く感謝しています」と続けました。

eスポーツの発展への取り組みについては「eスポーツや格闘ゲームという大きな括りではなく、自分のプレイしている『鉄拳8』をもっといろんな人に知ってもらいたいので、そのために、自分自身がもっと有名になって、もっと成績を残して、みなさんに見て貰えるように意識しています」と話しました。チーム戦で他のタイトルを知ったことについては「『スト6』は観たことがあったんですけど、『KOFXV』はあまり観たことがなかったんです。澤田さんの試合を通して「これ、めちゃくちゃ面白いじゃん」ってなりましたね。3種目やったことで、一石三鳥だよねって思いました」と語りました。

チームメイトの印象については、樋口選手について「樋口君は25歳で若いんですよね。格闘ゲームって年齢が高い人たちが経験値とか場数で優位に立つことが多いんです。樋口君はあの年で、何十年もこの業界で生き抜いた人たちの立ち回りをしているんです。控え室で話したとき、「僕は15歳くらいからあまりメンタル変わらないんです」って言っていたので、生まれつき落ち着いた感じなんでしょうね。『鉄拳8』をやっている若い子たちであれだけ落ち着いた子はいないので、まさに人生2周目なんじゃないかって思いましたね」と述べました。澤田選手については「正直、あの人が居てチームが成り立っているんですよ。僕が結構好き放題やっていて、樋口君はなんでもオッケーですよって言うタイプで、澤田さんがいろいろ諫めてまとめてくれるんです。年齢も一番上だし、リーダー的でしたね。あと、澤田さんが一番ゲームを心から好きなんじゃないかなって思います。これも控え室での話なんですが、澤田さんって35歳くらいの時に精神年齢を測ったらしいんですよ。そしたら、13歳という結果が出たと言っていました。少年そのものがゲームを楽しんでいるんだなって、凄く尊敬しています」と話しました。

本名での出場については「違和感半端ないですよ。20歳くらいからプロゲーマーとして活動をしていて、15年間くらいノビで活動しているので。ただ、中山大地で出場させていただいたことで、中学校の同級生とかからも連絡が来ました。久しぶりに大地って呼ばれたなぁというのはあります。まあ、特に本名を隠していたわけではないですし、ぶっちゃけ、どっちでも良かったというのはあります。というか、むしろなんでノビにしちゃったんだろうなって思っていたりもします(笑)」と語りました。

澤田彰仁選手は、チームメイトの印象について「そうですね、まず樋口君ですが、25歳のはずなんですが、良い意味で年齢が近い感じがして、凄く喋りやすかったですね。若いから気を遣うとか、逆に気を遣ってもらうとかそういうのがあまりなく、ゲームに関しても凄く心強くて一緒に頑張ろうって思えましたね。中山さんはむしろ彼がまとめてくれていた印象です。ムードメーカーというか、チーム全体の雰囲気を良くしてくれていました。そのおかげでずっと楽しくできたなって思います。ふたりとも話しやすくて、ふたりがチームメイトで良かったという気持ちが強いです」と語りました。

銀メダルの意味については「正直なところ、メダルを獲得したところで人生が何か変わるとかはないのかもしれません。今大会に参加した意味で言えば、中山さんと樋口君と凄く良い経験と思い出ができたことが素晴らしく、銀メダルはその思い出の品って感じですね。銀メダルを見るたびに彼らと頑張ったなっていうのを思い出せて、良いモノになったと思います」と話しました。決勝戦の韓国戦については「一応、オメガルガール対策の準備はしてきたんですけど、ちょっと環境に対応できなくて、思い通りに勝てませんでした。相手ももちろんしっかりと準備をしてきていましたし、この結果にはまだモヤモヤしています」と振り返りました。

『KOFXV』の先鋒戦の戦略については「『KOFXV』は先鋒戦に勝てたら凄く有利になるんです。なので、先鋒戦はもっとも自信のあるキャラクターを出していくのが常套手段なんですよね。今回はオメガルガールに対抗できるキャラクターを先鋒戦に出すことにしましたが、うまく噛み合いませんでした」と説明しました。試合順の決め方については「1試合目は特に自信のあるタイトルで勝ちに行こうとなりました。あとは流れですけど、勝っていたらそのタイトルを早めに出して行くって感じですね。自分自身はこの組み合わせは結構いけるなと思っていても、もしかしたらって思ってしまう方なんですよね。なので、チームメイトのふたりが強すぎるうえ、「じゃあ、行きますよ」って言ってくれるので、頼るところが大きかったです。かなり、メンタル面で支えられていました」と語りました。