夏が近づくと、40代以上の男性から「半袖Tシャツの自分に違和感を覚える」という相談が増える。若い頃のように決まらないのは、年齢のせいだけではない。近年のTシャツ市場は複雑化しており、選び方を間違えると一層老けて見える原因になる。
インナー用と1枚用でTシャツは二極化
最大の理由は、オーバーサイズ流行の影響で、ショップに「サマーアウターのインナー用」と「1枚で着られるもの」という、用途の異なる2種類が混在していることだ。
インナー用は腕周りがコンパクトで、シャツアウターを羽織っても袖の中でシワになりにくいのが特徴。しかし真夏に1枚で着ると、加齢による肉感を拾い上げ、上半身が貧相あるいはピチピチした印象になる。
一方、1枚で着ることを想定したTシャツは、袖や肩周りに適度なボリュームがあり、身体にハリがあるように見せる視覚効果がある。大人にとってはポジティブな要素だ。まずは自分がどちらのタイプを着ているかを把握することが最初の分かれ道になる。
大人のTシャツ選びは「丈感」と「質感」
では大人はどう選べばいいのか。着眼点は「丈感」と「質感」の2つに集約される。
丈感については、オーバーサイズのTシャツに多い長い着丈をそのまま着ると、視覚的な重心が下がりだらしなく見える。ジャストシルエットのパンツに合わせるなら、ベルトループが完全に隠れる程度の長さが目安だ。ワイド系パンツなら、肩から地面までの距離を5としたとき、Tシャツの丈感が2:3になるバランスが黄金比とされる。
質感では、ペラッとした薄い生地を避けることが重要。薄い生地は生活感を露呈させる。予算に余力があるなら、肉厚でストレッチが効いた生地のTシャツや、上品な光沢のあるサマーニットTシャツがおすすめだ。肉厚なストレッチ生地は身体のラインを拾いづらく、サマーニットTシャツは品よく見せてくれる。
最適解は時代や年齢で変わる
夏の定番である半袖Tシャツも、時代や年齢の変化によって最適解が変わる。「用途を見極め、丈感と質感にこだわる」というルールを取り入れるだけで、Tシャツ姿は頼もしく洗練されたものになる。
著者プロフィール
森井良行(もりい・よしゆき)。エレカジ代表取締役。20代後半から40代の男性向けに「エレガントカジュアル」の服選びを提案する服のコンサルタント。街のセレクトショップを歩きながら顧客に試着を繰り返してもらい、その人に最も似合う服を探す「買い物同行」は9割以上の満足度を誇る。著書に『38歳からのビジネスコーデ図鑑』(日本実業出版社)など。



