ブランド誕生の背景
「ALWAYS OUT OF STOCK」は、スニーカーコレクターとして知られるKING-MASA氏が2016年に立ち上げたファッションブランドだ。「Luxury & Street」をコンセプトに、大人が着られるストリートウェアを提案している。現在は東京・中目黒にショールーム兼ショップを構え、ファッション感度の高い40代から熱い支持を得ている。
KING-MASA氏は京都出身。幼少期から海外文化に触れる機会が多く、高校はオーストラリア・メルボルン、大学はアメリカ・ロサンゼルスに留学した。その原体験は、小学6年生の時にハワイのスニーカーショップで、日本では入手困難だったナイキのエアフォース1の限定品が普通に販売されているのを目の当たりにしたことだという。「そこで働く店員もかっこよく、もっと英語を話せるようになりたいと思った」と振り返る。
ブログから起業へ
2005年、16歳の時に「HI-LIFE-SB」というブログを開設。留学先から日本の読者に向けて、現地のスニーカー情報やストリートファッションのトレンドを毎日発信した。楽天ブログのファッション系ランキングで常に上位を維持し、1日10万~20万ページビューを記録。テレビや雑誌などのメディア出演も増え、読者からの買い付け依頼が殺到したという。
当時、日本ではナイキのダンクやSBダンクが全盛期。しかし、日本で完売したスニーカーも海外には定価で在庫が残っていることが多く、さらに1ドル70円台の円高も追い風となり、日本の定価以下で販売できた。逆に、オーストラリアのショップ店員から依頼されて、日本で流行っていたエイプのTシャツを買い付けることもあった。
しかし、アフィリエイトブログと並行輸入ビジネスに飽き足らず、「自分で着たいものを作って、多くの人に自分のファッションを提案したい」という思いから、2016年に会社を設立し、ブランドを本格始動させた。
ブランドこだわりとデザイン哲学
ブランド名には「常に完売しているようなブランドにしたい」という願いが込められている。現在は「Luxury & Street」を掲げ、縫製も生地もメイド・イン・ジャパンにこだわる。「誰が着ても気持ち良い肌触りや快適な着心地、誰が見てもかっこ良い綺麗なシルエット」を最も重視している。Tシャツは非常に柔らかいコットンを使用し、何度も改良を重ねて、3年以上着ても首元がよれない仕様に仕上げている。
デザイン面では、立体感を出す異素材の切り返しやダブルポケットがブランドのアイコン。ロゴを隠してもシルエットやデザインだけで「ALWAYS OUT OF STOCK」とわかるような“らしさ”を追求している。例えば、スケーターやワーク系のウェアに見られるダブルニーパンツでも、あえてタックを入れたり、光沢のある綿を使うことで、フォーマルな場面でも履きやすくしている。
また、スニーカー好きに向けた遊び心も忘れない。オレンジ色のタグは、アメリカでスニーカーの抽選購入に並んだ際に配られた抽選券がモチーフ。ただし、露骨に落とし込むとチープに見えるため、あくまで遊び心の範囲に留めているという。
海外展開と今後のビジョン
現在、実店舗は中目黒のみだが、コロナ禍にオープンしたショップ兼ショールーム兼事務所は手狭になってきており、次の物件を探している。それ以前は対面販売はポップアップのみで、バーニーズ ニューヨークでの初ポップアップでは1週間で約1000人が来場。GINZA SIXや阪急うめだ本店でも積極的にポップアップを展開している。
インバウンドを含む海外顧客へのアプローチも強みだ。SNSで拡散されれば遠く海外からも来店する時代であり、最近は他のアパレルブランドの海外向け発信や集客支援も行っている。「日本の魅力を海外へ、海外のトレンドを日本へ」という形で、ファッションを軸に好きなことを好きな人と伝えていきたいと語る。
海外向け情報発信では、全く未知の新しいものを考えるよりも、誰もがどこかで見聞きしたことのある要素に自社のオリジナリティを加えることを重視。ポップアップブースでは、畳や暖簾、提灯など“ベタ”とも思える日本の要素を積極的に取り入れている。
好きなことを仕事にするために
KING-MASA氏は、好きなことを仕事にして稼ぐ方法として「海外に出て新鮮な経験や発見を積むこと」を勧める。「たくさん寄り道していく中で、いろんな機会や出会いに恵まれ、自分なりの答えが見つかる」と述べ、現在も半年に1回程度は海外へ行き、トレンドの知見を得ている。また、日本での生活もルーティン化しないよう、歩く道も会う人も日々変えるよう心がけている。「なかなか海外に行けなくても、まずは外に出て、さまざまな機会に対してオープンな姿勢でいること。それが好きなことで稼ぐために大切なポイントかもしれません」と締めくくった。



