大鵬薬品工業(東京都千代田区)は、社内の対話促進を目的とした「10分読書会」を導入した。この取り組みは、部門間の交流が不足しているという課題を解決するために始められた。社員は共通のテーマで要約された本を10分間黙読し、その後グループで感想を話し合う形式だ。
「10分読書」の具体的な流れ
平日の午後3時半すぎ、本社ビルのオープンスペースに約30人の社員が集まる。4人1組となり、PCやスマートフォンで外山滋比古著『新版 思考の整理学』(ちくま文庫)の要約を10分間黙読。その後、モデレーターの進行でチームごとに感想を共有する。参加した男性社員は「例えば人事評価ではAIが定量的に判定できるところと、あえて非効率でも人が判断した方がいいところもあるのではないか」と発言した。
部門間の壁を越える対話
参加者からは「営業には営業の、開発には開発の苦労が知れてよかった」との声が上がり、異なる部署の社員が互いの業務を理解する機会となっている。読書をきっかけに自然と仕事の話へと会話が広がり、笑顔も見られる和やかな雰囲気だ。
社内コミュニケーションの課題
調査によると、6割超の企業が「社内コミュニケーションに課題あり」と回答している。大鵬薬品工業では、単に「社員の対話を増やそう」と呼びかけるだけでは失敗すると考え、共通のテーマを設定することに意義を見出した。この取り組みは、心理的安全性の向上にも寄与している。
心理的安全性の重要性
「心理的安全性」というキーワードは組織論用語として広く知られ、チーム内でメンバーが対人リスクを恐れず安心して発言できる状態を指す。大鵬薬品工業の取り組みは、社員が自然体でいられる環境づくりに貢献している。コロナ禍で在宅勤務が広がる中、社員同士の対話を希薄化させないための試行錯誤の一環だ。



